ブログ | ナノ


2014 / 06 / 30 心中


セミが泣き出した。見覚えのある後ろ姿を追い、振り向く顔に落胆する。いつまでも過去にすがりつく。今を愛そうとするほど私を取り巻くのは過去だった。
好奇心から始まった塗り絵のような色のない夢も今では灰色で塗りつぶされ哀愁を漂わせていた。

「そうよね」
「辛かったよね」
「貴方は頑張ったわ」

貼り付けたような笑顔を見せてカウンセラーが目の前にいた。息が出来なくなりそうになった。信用できないなと思った。適当な不満を口にすることで自動的に涙が出た。手渡されたティッシュは軽かった。

目を合わせたくなかった。彼女の話しぶり全てが胡散臭かった。仕事がそれだから仕方ないと思いながらも言葉にするのが億劫になった。話すことはない気がした。もうあそこにはいかないと決めた。私は話を聞いてほしかったわけじゃないことに気づいた。耳を傾け寄り添うのがカウンセリングなんだなと実感した。寄り添われることを求めていない人がどんなに同調、肯定されてアドバイスを受けても空っぽにしかならない。その柔らかさと笑顔と安心を与えようとする口ぶりを私は必要としてないんだ。




×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -