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2014 / 06 / 26 皺だらけの折り紙で


真っ白な紙をぐしゃぐしゃにするとそれが白以外の色に見えてくる。白は何もないということと比喩されがちだけど実際は白も存在する色なのだ。私はそれを主張することで何を保とうとしていたんだろう。いつも始まりを美しいと思った。終わりは残酷でどうしようもないものだと感じていた。
"なにもない"という状態が美しいあるべき姿だと感じていた。なにもないと言っても0ではなくてひとつの個体以外に何もないことを意味した"なにもない"という状況だった。勿論、その空間を見つめる誰かがいなければそこに"なにもない"という状況を生み出すことが出来ない。誰かが認識するからこそ、そこに有無が存在できる。
不思議だと思う。私は生まれてきて数は少ないが自分の移動できる範囲内のいろんなものを見てきた。そしてそれを手に取り失ったり得たりしてきた。時と共に変化するものもあればそうではないものも確実にあった。命を持つ者は必ず死んだ。あり続けることは難しかった。生きていたことを認識できてもその個体が形や意思や思考を持ち続けたままでいることはできなかった。伝達し記憶に残ることが永遠だった。
気づいたらメモ帳に書いた言葉や絵を塗りつぶしていた。黒から始まることもできるんじゃないかと塗りつぶすことで全てを隠した。隠した事実を受け入れながら新しい世界を想像したかった。皺だらけで真っ黒になった紙をまた丸める。でも捨てたりはしない。皺の残ったその紙を広げて考えてきたことを整理する。死にたいと思った日と死ねないと思った時間を思い浮かべながら始まりを作るために生きようと思う。



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