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2014 / 06 / 09 チョコレートパフェ


息を殺して空を見る。誰かと誰かの声がぶつかってよくわからない言葉が生まれる。音だけが溢れて意味を持たないまま消えていく。

「思ったより現実ってわかりやすいのね」
「そうかなあ」
「だって、幼い頃の練習がそのまま生かされた感じ。それに複雑化した問題がくっついて・・・」
「貴方の思考構造が謎かも」
「えーこんなに付き合い長いのに」
「付き合いが長くても全てを知り得ない」
「うーん」

首を傾げて視線で私に何かを伝えようとし始める彼女。
長い睫毛、今流行りのおかっぱ頭でお人形さんみたいに可愛い、私が見とれていると不満そうに口をつぐんで視線を落とす。

「物事をシンプルに簡単に頭に詰め込みたいのかもしれないけど変に例え言葉にして理解したフリしちゃだめよ」
「さーちゃんはいつもそう言うよね」
「だって・・・、あまりにも大雑把すぎるから」
「・・・・うーん」
「ねえ、難しい顔してないで今日はパフェ食べに行くって集まったんでしょ」

彼女から視線をずらして街を見渡す。人がひしめき合う。私はこの蟻のように人が溢れる感覚を味わいたくてここにきたんだと高揚する。もうここに来て2年が経とうとしているのにまだこの高揚は収まらない。

「そうだね、私がよくいくところ連れてってあげるかわりに・・・おごってね」
「はいはい。約束だもんね」

人通りの少ない裏道を入ったところにちょこんと看板が出ていた。
奥の方へ進む。いつも彼女は私に新しい色をくれる。そして今日も小さな冒険のお供に私を連れ出した。きっとこれから先も彼女の冒険に付き合っていくんだと思う。わかりそうでわからない世界を捕まえながら。







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