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2014 / 06 / 06 固まったインク


白紙を広げて思考を巡らせる。落ち着かない心を宥めるように甘いものを口にして脳を刺激させる。意識を甘さに向けさせる。
青い空、雲が太陽を見え隠れさせた。

「あなたはどうしたい?」
「僕が先にそれを聞いたのに」
呆れたような顔をしてため息をつく。私は苦笑する。
「何も思い付かないの、だから聞いてみようかなと思って」

彼の視線が痛い。ちくちく刺さって私の思考をどんどん狭くしていく。その視線に耐えながら考え事なんてできるはずがない。

「へぇ、それならそう言ってくれればいいのに」
「ははは、ごめんね」
彼の芯の強さと絶対的な知識と発言力を尊敬すると同時にひどく怖がっていた。私の全てが彼にねじ伏せられている気がして言葉を飲み込んだ。彼の前では無知でいたかった。そのほうが可愛いと思った。可愛いと思われたくもないけれどどんなプレゼントをするよりもきっとこのほうが彼は満たされる。私は彼の満足そうな顔が好きだ。

「あれ…」
「どうした?」
「このペンつかないな」
「インクはあるのに…まあもうちょい振ったり紙にがりがりしてたらつくんじゃないか?」
「そうだね」

白紙にペンのあとだけが残る。私は未来を描きたくないのかもしれない。固まった思考、口に出せない思いだけが詰まる。明日も私は彼の満足そうな顔を見て自分を保とうとするのかも。



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