強がりが嘘に繋がった
言葉を飲み込んで涙が出た

気が付いた時には側に誰も居なかった。
でも不思議と辛くなくてなぜか優しい気持ちになれた。


「まだわからないんだ」
「わからなくてもいいじゃない」
「どうしてそう思うのかい?」
「わかることが全てじゃないでしょ」

彼女はくすっと笑った
僕はそんな彼女の余裕のある表情にいらついた。
彼女はそれに気付いたかのように表情を変えて僕の目を見る
深く深く覗くように何かを探るように。
僕がアタフタし始めると視線を落として言う

「あなたは何を知りたいの?」

つんとした声で突き刺すかのように。
そして視線をまた僕の目に移す
目と目を合わせる、次は目だけを見てるわけではなかった。

「何をって、大きく言えば君を」
「ふーん、でさ知ってどうするの?意味あるの」
「もちろん、お互い知り合ってたほうがいいだろ」
「じゃあ無理だよ」


彼女はその言葉の後にさよならを加えると僕に手を振る
理解が出来なかった
でも彼女を追うことは出来なかった。
きっとだから出来なかったのかもしれない。

その後、彼女から手紙が届いた
そこには 好きです大きくと書いてあって無駄に何枚かの白紙と小さめの紙の切れ端に

P.S.解り合うことが全て幸せに繋がるわけじゃないの。お互い知らないことが多いまま居られたら素敵かなって。そのほうが私は・・・

小さな字が紙の切れ端に書かれていた、あの好きですと書いてあった便箋に書けば書きやすいだろうにと思いながら微妙なところで終わっている文を何度も読み返して彼女らしいなと思った

手紙の返事は返さなかったけれど
最後の最後だから一か八かで彼女に電話をかけてみると思った通り繋がらなかった。

だから留守電に
じゃあな 手紙読んだよ とだけ残して置いた。


それから少ししてから彼女は結婚した
相手は高校のクラスメイト、しかも1番目立たなくて無口だった岡野と。

俺は二股されてたみたいだけど気付かなかった。
それから結婚式の招待状もきてたみたいだけどそれに気付いたのも随分経ってからだった






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