嘘つき嘘つき
わかってたくせに、ぜんぶ。
せっかく上手くなりたってたのにね
君は独占欲が強いんだから


「君が祈るなら僕も祈ろう」
「いいの、貴方が居てくれるなら祈るのはやめるわ。私にとっての神様は貴方だから」

そんな言葉に吹き出しそうになった僕だけれどあまりにも彼女が一生懸命なので堪えてラブストーリーによくあるように彼女を抱きしめた

彼女は僕の腕の中で泣いた

僕は少し申し訳なくなったけれど
頭の中では彼女以外のことを考えながら彼女から伝わる鼓動と温もりと啜り泣きを体で感じた。


・・・・と携帯が僕に時間を知らせるように振動する
僕には彼女より大切なものがあった、きっと沢山。
僕の中で彼女はかけらでしかなかった。
繋ぎ合わせられないたった一つだけでそれ以上になれないものだった。

だから彼女の中の自分もそうであって欲しかった。

僕から離れようとしない彼女が欝陶しい存在になってしまわないうちに二人の時間を終わらせよう

君に言った言葉は嘘ではないけれどきっと君が感じているような大きな言葉ではないのかもしれないね

「ごめん、今から用があるんだ」
「もう帰っちゃうの」
「結構長い時間ここにいるよ、俺ら」
「嘘、あっという間すぎるよ」
「・・・・・・・、ははは。じゃあね」

苦笑いがこぼれてしまう
彼女の残念そうな顔がなんとも言えない
彼女は愛を僕から感じているのだろうか

どうせまた彼女は僕に連絡をくれるだろうからその時に考えてみるか。

タクシーに乗った

振動する携帯に表示される名前をまじまじと見ていた。

ため息が出た、携帯の電源を切った。
言葉を嘘にしてしまったのは君だろう
僕は嘘を言った覚えはなかったのに君は頭の中で僕の言葉を自分なりに変換しすぎたんだよ。



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