コーヒーが冷めてしまうと思いながら僕がふてくされた横顔を見ていると彼女は少し怒ったように「コーヒー飲みたいなら飲んでいいよ」と言う。
結構、周りを見ている子なんだなと感心しながら冷めかけたコーヒーの入ったカップに手を伸ばすとこのタイミングを待ってましたというような絶妙なタイミングで彼女がカップを持ち上げ自分の口に運ぶ。

僕は「あ」と言葉を吐く前に彼女は僕のほうに目を映すと「あなた、犯罪でも犯しちゃったの。警察にでも監視されてたりするの」と僕の目を見ていう。僕はどうしてか彼女にまっすぐ見られていると自分が犯罪を犯してしまったことがあるような気がして怖くなって冷や汗が出た。

「私はね、貴方の話が聞きたいからきたんだけど。貴方、何がしたいの。挙動不審なの、まさか殺人しましたなんて言わないでね、それで逃走中なんだとか言わないでね。怖いから。まあ、貴方みたいな弱そうななよなよした人は人を殺す勇気もないだろうけど。まさか私の予想を上回るというか想像を超えるようなことしちゃったりしてるの。ねえ?そうなの」

彼女の少し早口で人を針でつつくような言葉たちが僕は好きだ。少しマゾな部分が自分にあるのかもしれないと彼女と話していると思う。

「もう私、尋問しにきたんじゃないんだから、勘違いしないでね。貴方が話しやすいように話題提供してるだけなんだから」
相変わらず彼女は頭の回転が速いのかポンポンと言葉を僕の前に並べていく。会話のテンポについていけない。彼女の言葉を聴いて理解するだけで精一杯だ。

そんな彼女が一通り、というかこの話題を上手く彼女の中で繋げながら広げていつの間にか彼女の一人語りになっていつも通り僕が聞き役になっていた。
気がつけば、カフェに入って2時間ぐらいになる。

「そろそろ、8時だよ」と僕はどうしてか切り上げるのは上手いんだ。
彼女の話を終わらせるのは上手い、会話をするのはへたくそだけれど。


「あ!本当だ。もうこんな時間。貴方ってやっぱり不思議な人ミステリアスね、好きよ。また会いたいわ」

彼女の笑顔を見ていると幸せな気持ちになる
そして彼女がいつものように言う別れ際の言葉を思うと彼女はまるで僕に会えるだけで嬉しいからわざと僕の話をするタイミングを無くして聞かないようにしてミステリアスなんて言ってそれを口実にまた会おうなんて言ってるのかもしれないなんて。深読みだけれど

そんな彼女が僕に内緒で男なんて連れていたら僕はきっと彼女が驚くようなことをしでかすかもしれない。犯罪を犯してしまうかもしれない。

それぐらい、伝えるタイミングを見つけられずにいるけれど彼女を愛しているから。



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