時の流れが白紙を茶色くした

特に何をするでもなく私はただ時の流れが染み込んだ古紙に目を落としていた。ボールペンで書き殴る絵に最初から茶色い色がついている。いやらしくない色付きにホッとする。寒いことを理由に締めっぱなしにしていた窓を開けて冷たい風を受け入れる。冷たくて痛くて思わず締めてしまいそうになる。でも我慢してカーテンだけ締めた。
静かにカーテンが揺れる様子を見ていた。規則的だった揺れが時々不規則になる。それと同時に冷たい風が部屋を冷やしていく、私の手も一気に冷たくなった。多分飽き飽きしている。狭い世界の中に暮らして広い世界を好きなように空想してそれに疲れてきている。狭い部屋の居心地の良さに甘える。弱虫な私は蝶になりたくない。蛾にもなりたくない。多分、何にもなりたくない。けれど社会の荒波の中ではちょっと胸を張るには目標が必要だということは嫌になるほどわかっているつもりだ。それをしっかり捨てた瞬間に生きることをあっさりやめられる気がするからだ。
言葉に縛られ続けているのもきっとこのせい。私は私の束縛から逃れたいけれどそれから逃げるということは死ぬことを意味すると思っている。そういう言い訳に抱かれていたい。抱かれて甘えて言葉を愛していたい。何にも変えられない言葉を愛することで私は私を好きでいられる。いい意味でも悪い意味でも自己陶酔する。それが生きる力になる。恥ずかしいけれどそんな気がする。




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