乾いた空

白い箱の中に窓をつけて私は満足するんだと思う。外の音だけを感じて想像するのかもしれない。絶望も希望もそれ以外の想像も全てを私の世界のものだけにする。
実際、そんな我が儘許されないけれど寝る前のなんとも言えない虚しさの中でならそれが許されるような気がする。目を閉じる、音を感じる、乾いた目に目薬を指して覚めた目にさらに現実を突きつける。どうってことない刺激に私は身震いをして笑った。

「そういえば、今でも○○ってしてる?好きなの?」
「まあ、すきだよ」
「将来はそういうことするの?」
「」

苦笑いが交じる言葉を飲み込み話題をずらす。
いつしか大人になった。いや振り返れば、それは膨大な情報や経験だったりするはずだ。ただ過ぎ去ってみればそれは全て早送りのような気がする。とても不思議だと思う。楽しかったことも結局は詳しい映像ではなく「楽しかった出来事があった」という大まかな記憶でそのまとまりの中に「運動会・リレー・アンカー・転ぶ」などいくつかのキーワードが浮かび、思い出すときに勝手に映像変換される。そして記憶は書き換えられる。

誰かに過去の私を呼び起こさせられながら少しの鬱陶しさと懐かしさを感じていた。幼かった頃、どんな未来を想像していただろうか。掘り返すほど、壮大で振り返るほど虚しくなった。それが大人になることなのかと考えること自体寂しいことかもしれない。自分で自分の範囲を狭めてしまう。知ることで限界をつけやすくなってしまうのかもしれない。潔いという表現もできるけれど面白みに欠ける。年を重ねるほどにマニュアルを強く信頼するようになる。全てにおいてそうではなくてもその傾向にあるかもしれない。




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