《彼はバンブルビー。サム、君のボディーガードだ》
「バンブルビー…?僕のボディーガードだって?」

オプティマスに紹介されたカマロ――バンブルビーは、音楽を流しながら軽くステップを踏み、サムの問いに電子音を立てながらコクリと頷く。
それに疑問を覚えたらしい観月が、バンブルビーに視線を向けたまま、眉間に皺を寄せながら疑問を口にした。

「何故、コイツはラジオでしか話さねェンだ…?」
《あぁ…彼は以前の戦闘で声を出す機能が損なわれてしまって、まだ修理できていないんだ》
「…そうか」

観月の問いに、ラチェットがレーザーのようなものをバンブルビーの喉に当てて説明するが、観月は少し目を細めるだけで終わり、ミカエラがオプティマスに向き直る。

「…なぜ、地球に?」
《"オールスパーク"を探しにきたのだ。メガトロンより先に見つけなければ》
「メガ…何?」

サムの疑問にオプティマスは米神に指を当て、目から光を照射した。
その瞬間、サム達の足元がいきなり崩れ始め、その下から炎が見える。
崩れていく場所から後退る観月達をよそに、オプティマスはゆっくりと話し出した。

《我々の星は、嘗ては強大な帝国で平和を保っていた。
 だが、ディセプティコンのリーダー、メガトロンが反乱を起こした》

オプティマスから語られる話しに、サムとミカエラは不愉快そうに眉を顰める。
もしこれがオプティマスの話しの途中でなければ、二人は揃って「メガトロンは許せない!!」と言っていたことだろう。
だがしかし、オプティマスの口から出た"反乱"という言葉に、それまで静かに話しに耳を傾けながら映像を見ていた観月が、一瞬で興味を無くしたように映像を眺めるのを止めた。

サムとミカエラが熱心に聞き入る中、観月は静かに踵を返し、その場を離れて行く。

《おい、まだ話の途中だ》
《戻りな、兄ちゃん》

アイアンハイドとジャズが引き止めようと声をかけるが、観月はそんな二人に見向きもせずに路地の向こうに消えて行った。










オプティマス達がいた場所から大分離れた所で、観月はその足を止める。
観月の脳内で延々と再生されるのは、先程のオプティマスの言葉。

――我々の星は、嘗ては強大な帝国で平和を保っていた。
だが、ディセプティコンのリーダー、メガトロンが反乱を起こした――



観月は一度大きく溜め息を吐くと、家への帰路をゆっくりと歩き始めた。





   Tired of hearing such words
 "そんな言葉は聞き飽きた"





(平和な国で"反乱"が起こるのは、)

("ただ単に暴れたい奴らが武装蜂起した"のと、)

("帝国の考えが民を苦しめている時"だと、)

(どうして当事者達は気付かないンだろうな)





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