アタシは君に出会って変わってしまった。自分が自分じゃない、そんな違和感がある。
アタシは今まで人前でデレデレベタベタするのが苦手で、そんなことしようとする男も嫌いで、ある程度の距離感がないと付き合っていれられなかった。
こんなに溺れたことはない。恋い焦がれて眠れなくなったり涙が出るなんてこと、中学生の時にした片想い以来だ。
正直に言おう。君の過去さえ手に入れたいほど、君にベタ惚れなんだ。いつだってくっついていたいし、いつだって好きでいたい。
出会った頃のストイックなアタシは君の前で現れなくなったけど……ねえ。変わってしまったこんなベタ惚れなアタシでも、君は好きでいてくれますか。
そのぬくもりに
用がある
本当はこんな風に考えたりするのは良くないし、アタシだって嫌だ。
過去よりも今や未来が大事なのも知ってるし、どうしようもないものに嫉妬したり過去にこだわるような女じゃなかったんだよ、アタシは。
それでも今の基くんは過去でできていて、こんな風にアタシを悩ますのは基くんだけ。こんなアタシを好きになったのも基くん、君なんだ。
「誰にでも自慢できる彼女だった」。そんな噂を聞いたのは、大羽からだった。