俺に助け船を出したのは見知らぬ超絶美人だった。薄水色の髪に橙色の瞳。一見不思議な色合いだが、それでも誂えた様に彼に似合っている。オプションの眼帯がまたその中性的な顔立ちを引き立てていた。そんなオプションだけでも凄みが出るが、それを差し引いても美人の鋭すぎる眼差しは明らかに年上の男達を圧倒している。美人が怒ると怖いというのは本当の話らしい。それにしても──嗚呼、こんな綺麗ないきものは滅多に見られないだろう。他人を見て心臓が騒ぐなんて、初めての経験だ。男にしては長く滑らかな髪が太陽の光を受けて反射する様がこの上なく美しい。今の状況を忘れて、思わず見惚れる。けれど、中性的な容姿に反してやや低い声に意識を引き戻された。

「お前らみたいなゲスには心底反吐が出る。早く俺の前から消えろ」

…美人だけど口は悪いみたいだ。絶対零度の視線に晒された男たちは、暫し呆然としてから慌てて帰っていった。美人に蹴倒され気を失っている仲間を置いて。酷い奴等だ。友達は選べよ、などと思いつつ、助ける様なことはしない。それよりも先ずは、礼を言うのが先だろう。

「助けてくれてありがとな!」
「いや、さっきのは半分八つ当たりみたいなものだ。…お前も次から気を付けろよ」
「あ、」

踵を返す美人に、名残惜しさが湧く。どうしてか、このまま別れるのは嫌だった。理由も解らないまま、今にも切れんばかりの糸を、どうにか結ぼうと必死だった。

「待っ、てくれ!」

思わず呼び止めれば、返ってくる怪訝そうな眼差し。あ、どうしよう、どうやって言おう、いや、そもそも礼以上に何を言いたかったんだ俺、

「お、俺とお茶しないか!」

…って、さっきの奴等と同じじゃん!



02.











円堂さん、逆ナンするの巻。いや女の子じゃないけど。進行が遅すぎて笑…えない。



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