風丸一郎太。俺の幼馴染みは魔法使いであるらしい。なんでそんなこと言うのかって、そりゃあ、あいつは俺に魔法をかけてみせたから。あの日、まだ小学校にも上がっていない頃。風丸は神妙な顔をして俺を呼んだ。

『まもる、聞いて』
『どうしたんだよ、いちろーた』
『今からまもるに魔法をかけます』
『まほう?なんだそれ』

首を傾げる俺に困った様に笑って、内緒話をする時と同じく耳元に顔を寄せてきた風丸は、そっと魔法の呪文を囁いたんだ。

「円堂」
「あ、風丸」
「やっぱり此処にいたんだな」

俺の隣に立って夕日を眺める風丸の横顔が、あの日のそれと重なる。ああ、そうだった。あの魔法はここでかけられたんだった。この鉄塔広場で。今みたいな夕日の中で。こうして、並んでた。だけど、風丸はもうあの魔法を覚えていないのかも知れない。あれから一度も、風丸がそれについて触れたことは無かった。それならそれで良いと思う。いや寧ろその方が良い。そうであってくれ。じゃなきゃ、俺は恥ずかしくてこの気持ちを言えないだろう。

「風丸、」
「ん?」
「風丸は魔法使いだったんだな」

風丸はその目をまんまるく見開いて、それから、嬉しそうに笑った。「やっと魔法がかかった」そう言って俺を抱き締め……って、おまえ、ずっと忘れたふりしてたのかよ!



解けてくれない魔法

『俺がまもるより大きくなる頃には、まもるは今よりもっと俺を好きになってるよ』
『それが、まほう?』
『そう、魔法。』










風円が好きすぎて生きるのが辛い。二人の絡み的な意味で、やっぱり1期が好きです。


title by NIL



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