「風丸、ちょっと助けてくれよー!」

ああ、あの喉かっ切ってやりたい。そんな風に能天気な声で、馬鹿みたいに全開の笑顔で、危なっかしい小走りで風丸先輩に近寄るな。媚びてるのが分かりやすくて腹が立つ。きもちわるい。当たり前の様に隣に並んで当たり前の様にあの人の微笑みと優しさを甘受するその姿勢には全く以て感服する。余程図々しくお花畑な頭をしているらしい。そうやってこれからも風丸先輩に寄生し生きていくのか。

「気持ち悪い」
「ん?宮坂、なんか言ったか?」
「いいえ、なんでもないですよ」
「…まーたサッカー部の方見てたのか…宮坂は本当風丸が好きだな」
「風丸先輩は僕の憧れですから」

だから、円堂守には早く離れて貰わないといけないんだ。今のままじゃ毎日あれの姿を視界に入れることになる。それは僕の精神衛生上喜ばしくない。何せあれの後ろ姿を見ただけで胸に不快感が込み上げどうしようもなくなるくらいだ。風丸先輩に留まらず誰に対しても天然ぶった笑顔で取り入り、常に誰かしらを連れて歩いている。さも自分は愛されているのだと他人に見せ付ける様に。気持ち悪い、ぶん殴ってやりたい。引き倒して首を絞めて殺してやりたいくらい憎たらしいと囁いてやりたい。そうしたら、あれの心底傷付いた顔を見られるだろうか。泣くだろうか。憤るだろうか。笑うだろうか。いや、そんなのどうだって良い。あれの心に僕の爪痕を残してやれるなら何だって構いやしない。もしも。もしも僕の言葉で傷付いたなら、その時は、

「ありがとな、風丸!」
「っこら、抱き付くなって!」

あの首かっ切って殺す。



ささやかな殺意
















※宮円です。
いや…あの…これは宮坂の盛大なジェラシー物語なんです…よ…。この話の風丸さんと円堂さんはただの幼馴染みです多分。しかし勢いで書いたせいか短すぎた。

title by 亡霊



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