円堂くんを初めて見た時に、俺は思ったんだ。彼なら俺を愛してくれるって。この場合の俺は勿論吉良ヒロトでもグランでもない、基山ヒロトのことだよ。円堂くんの瞳を見ればすぐに解った。俺を真っ直ぐに、ただただ真摯に見詰める瞳。誰かの面影を探すでも、哀れむでも妬むでもない、基山ヒロトという存在をそのまま映す、輝きに満ちたその瞳。その視界に俺を入れてくれている間だけ、俺はただの基山ヒロトだった。違う存在になる必要なんかない。円堂くんなら、ありのままの基山ヒロトを愛してくれると思ったんだ。だから俺は円堂くんが好き。大好き。父さんよりもね。だって好きでいてくれるでしょう。俺を愛してくれるでしょう。基山ヒロトを、俺を、僕を、一番に考えてくれるでしょう。抱き締めて、頭を撫でて、愛してるよって。囁いてくれるでしょう。そうだよね、うん、それが円堂くんだよね。そんな君を愛してる。あれ、円堂くん、どうしてそんなに悲しそうな顔をしてるの?


僕は僕のことを好きな君が好きなだけだ
(お前のそれは、)
(恋じゃないよ、ヒロト)






円堂さんに無償の愛を求めていたヒロト。ヒロトが好きで悲しい円堂さん。
2011/02/07 22:31




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