「ディラン、」

幾度も名前を呼ばれたけれど、こんなにも掠れた、泣きそうな声は初めて聞いた。その瞳に涙の気配は見えない。けれど、揺らいでいる。いつもの調子でどうした、元気を出せと言ってやれれば良かった。きっとエンドウもそれを求めていた。でも、出来なかった。それを感じ取ったのか、エンドウは目尻を下げ、口角を上げる。笑顔、に、なっていない。そして、その表情には不釣り合いな明るい声。

「俺さ、やっぱり駄目なんだぁ!キャプテンなのに、…なの、に」

そうだね、エンドウ。君はキャプテンを努めるには少しばかり優しすぎる。誰にも心を砕きすぎて、誰にも愛されて、誰にも頼られて。そうして誰も頼れなくなった。頼りたいと、寄り掛かりたいと、誰よりも願っているのに。頼って欲しいと言うのは簡単。でも、そんなの自分が楽になりたいだけの、その場凌ぎの言葉に過ぎない。

「ディラン、今だけ、傍に居て」
「…うん」

せめて、君を泣かせてあげられるだけの何かが欲しかった。


この両腕で
飛べたらいい

(君を逃してあげたいよ)
(君がそれを望まなくても)






ディラ円もぐもぐ。でもディランの一人称はシリアスに向かないと痛感した。
2011/02/05 23:25




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