※佐久→円→鬼→佐久
※3期





円堂のことは信頼している。
それでも、俺の唯一に成り得たのは佐久間を置いて他にいなかった。

俺が雷門に入ってから、円堂はいつも俺に全幅の信頼を寄せてくれていた。仲間と呼び、慕ってくれた。それに俺はどれだけ救われたか知れない。世宇子に惨敗し、チームの皆を守れず、天才ゲームメイカーと呼ばれていた自負も、帝国のキャプテンとしての誇りも傷つけられた俺にとって、円堂は光だった。けれど。その、俺を信頼し、慕う笑顔に俺は。重ねていたんだ。ずっと、…佐久間の面影を。最低だなんて知っていた。それでも、俺にとっての唯一はただ一人で。どんなに重ねずにいようとしても無理だった。いつも、心に居たから。知っていた。知っている。俺は、最低だ。円堂から向けられる感情が、単純な信頼だけではないと気付いていた。その視線に滲む想いを汲んでいながら、それでも知らぬ振りをした。そして今も。佐久間の視線が誰を追っているのか理解していながら、それでも知らない振りをする。──不毛な関係だなんて、誰よりも知っていた。


鬼道を尊敬している。
それでも、円堂を渡すことだけは、出来る筈が無かった。

第一印象は無かったと言っていい。誰の暇潰しか、練習試合を組まれた弱小校のキャプテン。何の興味もなかった。その次の印象は最悪だ。尊敬する鬼道を奪われた様な気分だった。今思えば八つ当たり以外の何物でもない。それでも、会う程に、会話を交わす程に、印象は変わっていった。変なやつ。面白いやつ。良いやつ。男前なやつ。目が離せないやつ。気付いたら好きだった。明るい笑みに、真っ直ぐな視線に、凛として力強い背中に、惹かれていた。けれど。幾ら円堂を目で追っても、その視線が交わることはない。それどころか、円堂が誰を見ているのか気付いてしまった。俺が一番、尊敬してやまない人。彼なら仕方ないと思う反面、恐ろしかった。今はそうでなくても、鬼道がいつ、円堂を想うようになるのか。円堂が俺以外に笑いかける光景を考えるだけで、どうにかなりそうだった。渡せない。譲れない。例え鬼道でも、円堂だけは。──諦められる訳が、ないんだ。


佐久間が好きだ。みんなが好きだ。
それでも、鬼道が一番大好きだ。

気が付けば、俺の傍にはいつも鬼道がいた。特に、エイリア学園と戦っていた時、俺がどれくらい鬼道に支えて貰ったか。鬼道は知らないだろうけど、俺は覚えてる。ゴールから見続けた鬼道の背中は何だかとても大きかった。ああ、好きだな。自然にそう思えた。それが他のみんなや、ましてサッカーに対するそれとは違うのくらいは、なんとなくだけど解っている。鬼道と出会って全てが変わった。新しい価値観、新しい視点、新しいサッカー、新しい気持ち。どれもかけがえのない大切なものだ。変化は怖くもあるけれど、それ以上に楽しい。そう、俺は、今が凄く楽しい。多分、人生で一番。鬼道と、みんなと、笑いあってサッカーが出来るこの瞬間。ずっと続けば良い。…なんていうのは無茶な話だと解っているから。だから、それでも。──どうか、もう少しだけ、このままでいたいんだ。



いっそのこと
一つになれたらいい






あえて王道とは矢印を逆にしてみた。二人の気持ちに気付いてる鬼道さんと、円堂さんに一直線な佐久間と、鬼道さんとみんなとサッカーが好きな円堂さん。
2012/01/20 12:43

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