※風→円(→)←夏
※中3設定





久し振りに風丸と一緒に帰る約束をした。ついでに河川敷にでも寄るかと話していたのだが、それは風丸の所属する委員会の会議が入ったせいで無しになってしまいそうだ。すぐ終わるからと頼み込まれ、教室に居残り始めてから小一時間。暮れかけの夕日を眺めながら息を吐いた。待つのにも飽きたと座っていた席を立ち、鞄を肩に掛ける。風丸には明日の朝にでも謝れば良いだろうと、茜色に染まる廊下を進み幾つかの教室を通り過ぎた時。

「…夏未?」

通り掛かった教室に見慣れた影を見付けた。最も、夕日による逆光と机に突っ伏している姿から判別出来たのは不思議な勘によるものなのだが。恐らく眠っているのだろう彼女を起こさない様静かに教室に入る。電源が入ったままのパソコンもそのままに、突っ伏して微かな寝息を立てる夏未を、何となく観察してみる。また理事長代理の仕事をしていたのか、伺い見える横顔に滲む疲労は色濃い。らしくもなく薄い隈まで作っている。少々頑張りすぎな友人を労りたくて、気休めだが制服の上着を肩に掛けてやった。不意に鼻腔を擽る花の香り。

「なんだっけ…フレグ、ランス?」

自分の全く興味無い分野だったが、記憶の引き出しを漁り思い出す。素直に、良い匂いだと思った。華やかでいて甘過ぎない、少しだけ大人びた香り──そう、彼女の為に誂えた様な。…あながち間違いでも無いかも知れないが。声も出さず笑い、もう一度寝顔を見た。恐らく明日は怒られてしまうだろう。「どうして起こさなかったの」とか「女の子の寝顔を見るなんて」とか、よく解らない理由で。そしてその後、意地っ張りな言葉や赤い頬と共に上着を突っ返されるに違いないのだ。自分のことながら容易に想像出来てしまうのが悲しくもあり、楽しくもあり。

「円堂?なんでこの教室に」
「あ、風丸。やっと終わったんだな!」
「待たせて悪い…って、雷門?」

教室を出て頻りに首を傾げる風丸の隣に並びつつ、やはり起こすべきだっただろうかと自問してみる。直ぐに止めた。あの普段より穏やかな横顔を崩してしまうのは、何だか、勿体無い様な気がしたから。




花瞼が閉じるとき
(綻んだのは頬か想いか)






風丸さん空気でゴメンネ!ただの円夏やんかコレ!イナゴダークやりたい!です!!
2012/01/19 05:26




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -