※ヒロ→円←玲





基山ヒロトという男が嫌いだ。昔からずっとずっとずっと。お父様に─代替品としてだろうと─最も愛され、サッカーの才能にも溢れていた。私が望んで求めてやまなかった全てのものを持っていた。けれど私は自分がアレより劣っていると思ったことは一度だってない。悔しいことに、多分、私たちは酷く似ている。今も同じものに焦がれては、それを手に入れる未来を夢見ているのだ。

「円堂くんが欲しいなあ」
「…」
「円堂くん、円堂くん、まもる」
「煩い」

口を開けばその名前ばかり。それがあの男の声で、唇で紡がれていると思うと縫い付けてやりたくなる。気安く呼ぶなと叫びたくなる。あの、綺麗なものが、アレが持つ歪みに呑まれてしまう気がする。それだけは駄目だ。いや違う。私が嫌なんだ。円堂守がこの男に、他の誰かに、好きだと愛していると、微笑みかけるのが。

「玲名も円堂くんが好きなんだね」
「…それがどうした」
「いや、別に?」

ああ、苛々する。渡さない。渡すものか。他は全て持っているだろう。私が欲しかったものを。そんなお前には。お前にだけは。

「円堂くんはあげないよ」
「選ぶのはお前じゃない」
「それでも、きっと」
「…お前は男。私は、女だ」

そう。似ている私たちの唯一絶対的に決定的に違うもの。今初めて感謝したけれど。円堂守を手にいれられるのなら、女に生まれた意味も今まで取り零してきた甲斐もあったじゃないか。

「…玲名がそんなこと言うとは思わなかった。君、そんな人だっけ」
「別に」

ただお前が世界で一番嫌いなだけ。



会わせ鏡の
階段の先に

(弱い自分をぶち殺せ)






玲名様をイケメンに書きたくて…!イナイレ界で一番のイケメンは彼女だとわりと本気で思います。あとヒロトが入るとかなりの確率で酷い言われようになってますね。好きなのにおかしいなあ…。
2011/03/11 23:19




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