※鬼→円←春
※大正時代的なパラレル
※円堂さんが色盲





俺の世界には色がない。らしい。生まれた時からずっとこの世界しか見ていないからよく解らないけど。他の人にはなんだか色々な色とやらがあると聞いた。別段羨ましいとは思わないけれど、今までこの目のお陰で他人に受け入れて貰えた経験があまりないから、みんなにとっての普通になりたいとは思う。自分を否定されるのは寂しい。ああ、でも、最近はなんだか楽しいかな。

「守」
「あ、…有人、春奈」
「空を見てたんですか?今日は綺麗に晴れてますもんねえ」

有人も春奈も、俺にとって数少ない友達だ。俺の目を馬鹿にするでも気味悪がるでもなく、ありのまま受け入れてくれた。仲良くなった切っ掛けは覚えていない。俺はよくこの河原にいて、二人はよく散歩に来て、…気付けば友達になっていた。

「今の空は、まだ日が高いから…青色。で、合ってるか?」
「ああ、合っている」
「青は青でも、今日の空は優しい青色ですよ。柔らかいって言うのかなぁ」
「う…、わかんねえ」
「風丸さんの髪みたいな色です」

成程、それなら優しい色だろう。穏やかな幼馴染みを思い出して一つ頷いた。春奈も有人も、優しい。前に一度だけ、俺が気持ち悪くないのかって聞いたことがある。その時、有人は言ってくれた。俺の瞳は他人と違う色をしているんだって。でもそれは個性で、嫌われることもあるけど、取り替えることなんか出来ないし、何より瞳の色が違うことなんか大した問題じゃないって。俺の目もそれと同じだって。春奈は俺の手を握って、温かいでしょうって言ってくれた。俺が頷くと、私たちとなんにも違わないじゃないですかって。嬉しかったなあ。

「あの木の葉は、季節が変わると色が変わるんだよな?今は?」
「赤色になり始めているな。…秋になったら三人で拾いに行くか」
「行く!絶対行く!」
「お兄ちゃんは守くんに甘いなあ」

そう言う春奈は楽しそうで、俺も楽しくて、有人も笑っている。俺は幸せ者だ。二人がいてくれるなら、幸せなんだ。そう言ったら春奈と有人は顔を見合わせて、それから嬉しそうに笑ってくれた。幸せの色って、きっとこんな色なんだろうなあ。



いろをわけてあげる






甘い知識で書いて良い話か迷ったのですが、どうしても書きたくて。鬼円春は幸せほのぼの三角関係。ていうかこれ大正っぽくもなんともない。
2011/03/10 23:26




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