※吹→円←涼
※3期





くるくる変わる表情は見ていて飽きない。拗ねた顔、膨れっ面、下がり眉、それから、とびっきりの笑顔。可愛い。タオルで汗を拭きながら、ゴールの前でボールを追い掛けるキャプテンから目が離せない。彼を見つめるだけで胸がきゅうと痛んで、好きって気持ちが止まらなくなる。…あ、派手に躓いた。誤魔化す様な照れ笑いが可愛くて頬が緩む。

「、」

ふと、視界の端に白い色を捉えた。僕と同じ白銀の髪。それを持っているのはこのイナズマジャパンで僕以外に一人だけ。そして、その彼が。僕と同じ様にベンチの傍でタオルを手に取り、僕と同じ人を目で追い掛け、僕と同じ様にその頬を緩めている。きっと、僕と同じ感情から来る、その表情。ざわり。剣呑な衝動が頭をもたげた。

「!」

視線に気付いたのか、涼野くんが振り返る。自然とお互いの眼差しが交差して──…気に食わない。多分、そう思ったのは同時。視線を交わしただけで解る。コイツは駄目だ。敵だ。排除しなければ。だって僕と同じだもの。ああ、予定外。本当はもっと時間をかけて、もっと美味しくしようと思ってたのに。早々に僕のものにしてしまわなければ。そんな思考まで同じだったのか、僕らがタオルを投げ捨ててピッチに足を向けたのは図った様に揃ったタイミングだった。



甘いものは
すぐに溶けてしまう

(だから、その前に。)






吹雪と涼野の「好き」はイコールで「美味しそう」というイメージ。ブリザードサンドは寒々しいなあ…。
2011/03/02 23:22




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テーマ「人外ファンタジー」
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