※緑→←円←基





俗に言う三角関係。…違うか。俺は円堂くんが好きで、でも円堂くんは緑川が好きで、緑川も円堂くんが好き。要するに俺の横恋慕。まあ二人はお互いの気持ちに全く気付いていないから、この関係性を知っているのは俺だけだ。全く、二人が羨ましい。視線の先で笑いあう円堂くんと緑川は実に幸せそうだ。俺なんか視界に入ってもいないだろう。二人はただ、好きな人を想って一喜一憂するだけで良い。それに比べて俺は、……。まあこんなことを考えたって仕方がない。俺は円堂くんを悲しませるつもりは微塵もないし、それはつまり俺の恋心が叶うことも無いということだ。あれこれ考えて感傷的になるなんて非生産的すぎる。やめよう。二人から視線を外しかけて、円堂くんの声が耳に飛び込んだ。好きな人の声というものは意識して聞こえなくする様には出来ないらしい。

「ヒロト!ちょっと来てくれよ!」

円堂くん、そんなに軽々しく他の男を呼んじゃいけないよ。緑川が隣で眉を寄せてる。俺は嬉しいけどね。

「どうしたの、円堂くん」
「それがさ、さっきから緑川が…」
「違うって!円堂の方こそ」

目の前で言い争い始めた二人に嘆息が漏れた。言い争い自体も正直些細なことで、右から左、左から右へと聞き流す。

「ヒロトは俺の味方だよな!」

円堂くんから投げられた言葉に条件反射で頷けば、嬉しそうに綻ぶその表情。反比例して歪む緑川の顔。あからさますぎて見てられない。

「なんだよ、ヒロトまでさぁ」

拗ねてるなあ。そんな顔してたら、…ほら。円堂くんの眉がハの字になってる。似た者同士め。主に鈍感的な意味で。

「二人とも。痴話喧嘩はそこまでにして、そろそろ練習に戻らない?」
「ちっ…!?そ、そそそんなんじゃないから!何言ってんのヒロト!」
「そうだぜヒロト!ちっ痴話喧嘩なんかじゃ全っ然無いんだからな!」

わあ真っ赤。可愛いなあ。…うん、こんな風に二人をつつくのも悪くない。俺は円堂くんが好きだけど、なんだかんだで緑川も好きだから。応援なんか絶対してやらないけど、いつかきっと笑って祝福するから。だから、もう少しの間だけ、こんな風に焦れったい二人を弄るくらいは許してほしい。それはこの三角関係を知ってる俺だけの特権の筈だから。



君が嫌いな
孤独に似ている

(けれど、それよりもっと温かな)






ほのぼのした三角関係…が書きたかったのですが…何か違う様な…。とりあえず赤緑サンド美味しいです。
2011/03/01 23:31




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