強さが欲しかった。円堂に見あうだけの。円堂の隣に立てるだけの。円堂を守れるだけの強さが。弱い者は、地上最強のチームには必要ない。取り柄だったスピードで負けてしまったら、俺は必要ないじゃないか。嫌だ。円堂の傍に居られないなら死んだ方がマシだった。力が欲しい。弱い俺は必要ない。殺さなければ。弱い俺を殺し、絶対的な強さを持たなければ。円堂を守るために。傍にいるために。その為なら俺は、秩序も倫理も禁忌も侵してみせる。

「力が欲しいのでしょう?」

躊躇いは無かった。ちっぽけな石ころに縋ることになったっていい。プライドなんか要らない。必要なのは力、それだけ。──俺は、やっと力を手にいれた。誰にも負けない、屈しない力を。ああ、早く円堂に会いたいなあ。弱い風丸一郎太は死んだんだ。今の俺なら円堂を守ってやれる。傍にいられる。他の誰にも円堂の隣は渡さない。鬼道にも、豪炎寺にも、吹雪にも、誰が相手だって。円堂は強い奴が好きなんだ。今なら俺を見てくれるんだ。円堂。円堂円堂円堂。俺、強くなったよ。スピードだけじゃない、力だって誰にも負けやしない。円堂が望むならどんなポジションだってこなしてやる。俺は円堂の為に在るんだから。だから。頼むから。俺だけを、愛してくれよ。


屍を越えたところ






2月は風円に始まり風円に終わってみました。風丸さんがダペ丸さんになる理由は幾つも考えられるので楽しい限りですね!まあ根底には円堂さんへの想いがあるんですけどね!
2011/02/28 23:46




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