※学パロ





玉砕覚悟で円堂に告白したら、まさかのまさかでOKされた。並み居る恋敵達を押し退け、晴れて付き合い始めてから3週間。未だに夢なんじゃないかという不安に襲われるが、毎日仕掛けられる地味な嫌がらせの数々がその可能性を否定する。お陰で薔薇色の学校生活を送っている、訳だが。どうしても解らないのは、円堂が俺に惚れた理由だった。顔立ちならミストレの方が整っている。勉強も運動も、正直バダップには敵わない。面倒見なら円堂の幼馴染の方が余程ある。どこぞの雪原の皇子とやらの様に甘い言葉を吐ける訳でもない。金持ちでも無ければ何か強力なバックが居る訳でもない。考えれば考えるほど、円堂が俺の告白を受け入れた理由が解らなくなるばかりだ。

「へっ?エスカバの好きなとこ?」
「ああ。…この際、はっきり言ってほしいんだ」
「うーん…」

円堂が同情や気紛れで付き合うような人間じゃないことは解っている。そんな奴だからこそ好きになったのだ。けれど、俺には円堂に好かれる要素が見当たらない。自慢じゃないが、自分のことを客観的に見ることには長けているつもりだ。

「サッカー以外には冷静で、俺をちゃんと見ててくれるとこ。とか」
「…そうか?」
「そうだよ。自分でも気付いてない様な俺を見つけてくれるのは、いっつもエスカバなんだ」

…何だか、恥ずかしいことを言われた気がする。臆面も無く言ってのけた円堂に何故か俺の方が赤面した。照れ隠し半分、期待半分に他の奴と俺との差を上げていくと、聞いていた円堂が眉間の皺を深める。

「何だよそれ」
「何だよって」
「エスカバが言ってるのは、全部そいつについてるオマケみたいなもんだ。そんなのだけで俺は他人を好きになったりしない」
「…でも、」

俺には何も。他人より優れたところなんか、無いじゃないか。そんな俺を、本当に、掛け値無しに好きになってくれるなんて。

「声が好きだ。サッカーしてる真剣な顔も、みんなで馬鹿やってる時の笑い顔も好き」
「おまっ、なななな何言って…!」
「俺に触れてくれる時の優しい触り方とか、キスする時に2回瞬きしてから目ぇ閉じる癖とか、全部!」
「…っ」
「…全部、好きだ。オマケも何もかもひっくるめて、エスカ・バメルっていう存在が好きだよ」
「…はっずかしいやつ…」

けれど、嬉しい。思っていたよりも俺は愛されていたみたいだ。火が出そうな程に熱い顔を見られない様に覆いながら、円堂には聞こえない程度の小さな声で呟く。

「俺も、お前の全部が好きだ」
「…へへ、そんなヘタレなとこも、可愛くて大好きだぜ?」

ばっちり聞かれてた。恥ずかしい。あとそれスゲー失礼なんだけど!…まあ、幸せだからどうでも良いか。


誉め言葉として
受け止めておこう






円エスじゃないの…エス円なの…。エス円は青春バカップルというイメージ。爽やかな感じの。
2011/02/23 23:07




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