この感覚はなんなのだろう。最近、胸の辺りがおかしい。痛むのではなく、冷たい手が掠めていくような心許なさ。背を丸め俯きたくなる。無性に叫びたい、いや、呼びたい。そんな衝動に駆られる。得体の知れない感覚に眉を顰めるながらも話し終えると、正面に居たミストレが観察する様な視線を投げ掛けてきた。底意地の悪そうな微笑みを貼り付け、へえと声を漏らす彼に何故か居心地の悪さを覚える。

「バダップ、円堂守に惚れちゃったんだ?」
「…は?」

だって80年前から帰ってからずっとそんな感じじゃん暇さえあれば胸トンしたり遠くを見てたり切な気に溜息吐いたりさあそれ完璧に恋煩いだろ、だのなんだの頼まれてもいないのに紡がれる解説は、右から左に流れていくばかり。惚れちゃったんだ。先程言い放たれたその言葉だけがぐるぐると脳内を回る。惚れちゃったとは。この場合、恋愛的な意味…だろうか。彼は任務の対象で、生きる時代も違うのに。いや、そもそも男同士だというのに。これは果たして本当に恋であるのか。困惑する俺に呆れを含む溜息を溢したミストレは、だから、と言葉を繋いだ。

「円堂守に惚れてるから、会えなくて寂しい。そういうことでしょ」

そういうこと。らしい。では、あの奇妙な感覚は、寂しいということなのか。成程勉強になった。…ではなく。"寂しい"のは、"円堂守に惚れているから"?そうなのか。解らない。円堂守の顔を思い出してみる。また、冷たい手が胸を掠めた。

「あーあー、何その顔。ヒビキ提督にはとても見せらんないね」
「な、」
「恋する乙女です。って顔してる。情けないね、王牙学園トップのバダップが時を越えた恋煩いなんて」
「う、…っ」

その後通りがかったエスカバに助けられるまで延々と貶められ続けた。悔しい。今度の報告書でヒビキ提督に言い付けてやる。


寂しさを纏うまでの苦しみ






バダ円要素が少なすぎた。そしてぐだぐだすぎる。取り敢えずバダップは天然バカなくらいが愛しい。
2011/02/21 23:10




第4回BLove小説・漫画コンテスト応募作品募集中!
テーマ「推しとの恋」
- ナノ -