食べることは幸せだ。好きな人と囲むご飯なら更に幸せ。口に運んで咀嚼して嚥下する。たったそれだけの行為なのに幸せになれるって、凄いよなあ。マルコの作ってくれたパスタを完食し、膨れた腹を撫で擦る。

「あー、腹一杯。しあわせー」
「喜んで貰えたなら何より」

嬉しそうに笑うマルコは食後のエスプレッソの準備中。コーヒーを飲めない俺からすれば、あんな苦いののどこが美味しいんだろって感じだ。口に出すと痛い目を見るのは経験済みだから、チャックしておくけど。口移しされたエスプレッソが気管に入って死ぬ思いをしたのは記憶に新しい。

「持つべきものは料理上手な恋人だよなぁ。俺ってすごい幸せ者…」
「うーん…嬉しいけど、その言い方だと俺より俺の料理の方が好きみたいに聞こえるなー」
「あながち間違ってないかも?」
「えぇ!?」

驚いて俺を見るマルコに噴き出しながらも冗談だよ、と返せば、ほっと胸を撫で下ろす。相変わらず騙されやすい恋人で、冗談を言う方としても楽しい限りだ。マルコはまた騙されたと拗ねて唇を尖らせているけれど、俺は知ってる。その仕草はマルコなりのキスのおねだりだって。してあげないと何時までも拗ねたままでご飯を作ってくれないから、パスタのお礼も含めてキスをする。

「ごめんってば。許して」
「…マモルは、ほんっとに小悪魔だよね。わかってやってる?」
「まあ、ちょっとだけ」

マルコが俺の上目遣いに弱いのはお見通し。溜息の後に降ってくるキスの雨を受け止めながら、幸せの味を噛み締めた。


舌の上の銀色






タイトルと全く関係無くなった…なんでだ…。取り敢えずマル円は凄いイチャイチャしててほしい。
2011/02/20 23:36




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