※円堂さん=闇堕ち。
※半田=闇堕ちというより(中途半端な)スレ。円堂さん側。



結局さぁ、と円堂が目を細めた。肩を竦め、足を組み、部屋に備え付けられた豪奢な椅子に座すその姿は正に王者の風格を漂わせている。浮かぶのは以前の明るいものとは違う笑み。しかし、それには思わず跪き頭を垂れ、彼の寵愛を請いたくなる様な抗い難い魅力があった。闇色に染まってもカリスマ性は健在らしく、少しだけ愉快になる。円堂らしい。

「力が無きゃ何も出来ないんだよ。願いにも祈りにも意味はない。実現出来るだけの力が根本的に必要なんだ。単純な力じゃなくて…例えば勇気。前に踏み出すための力だろ。例えば、自信。何かをする上で自信は大切だからな。ならさ、真一。それを求めるのは罪だと思うか?」
「いや、思わないな」

即答だった。正論だったからだ。立ち止まった時、歩けなくなった時、人は勇気を願う。それがまた歩き出すのに必要な力だからだ。何かを始めようとする時、何かを成し遂げると決めた時、人は自信を求める。その力が無ければ新しいものに挑めないからだ。なら、それを追い求めることをどうして罪と言えるだろう。誰に責める権利があるのだろう。

「俺にはサッカーが全てなんだ。もっと強くなりたい、もっと凄いプレイがしたい。それを叶えるために必要な力が、直接的で単純な力だっただけ。それだけ、だ」
「ああ。お前は間違ってない、守」

俺の言葉を聞いて、円堂は安堵したように微笑んだ。その表情は年不相応に幼く見える。抱き付いてくる体を受け止めつつその柔らかな髪を梳いてやれば、擽ったそうな吐息が耳の辺りを掠めた。──闇を知ってからの円堂は、こんな接触を好む。今までが押し殺していた分、甘えたいのかも知れない。名前呼びもそうだ。名字で呼べば不機嫌になり返事もしない。そして、俺の名前を呼ぶ時に含まれる響きには幼子の様な甘えが滲んでいる。それに違和感を覚えない訳では無い、けれど。

「(今までが変だったんだ)」

彼一人に頼り、背負わせていた。幾ら強く見えようと、円堂はまだ自分達と同じ子供なのに。考え無しに頼り、そして追い詰めていた。彼の頼ることの出来る場所を失くしてしまっていた。

『祈ったって、願ったって、誰も気付いてくれなかったじゃないか』

あの日そう言った円堂の表情が、忘れられない。…だから、俺が守るんだ。円堂がこうなった訳も知らず、考えようともせず、ただ彼を否定し自らの手中に引き摺り戻そうとする様な奴等から。守って、支えて。そして、

「…はは、本当に大好きだよ。真一の、そういうトコ」


祈るように、と
彼は嗤う

(俺の掌で踊れ)






あれ…お互いだけが支えの闇堕ち半円が書きたかった筈が、ただ悪ぶってる半田(ちょう扱いやすい)が円堂さんに弄ばれる話に…。
2011/02/16 23:08




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