「源田の手は、ちゃんとしたゴールキーパーの手だよなぁ」

先程から俺の手を取り無言で視線を落とし続けていた円堂がぽつりと呟いた。その言葉の意味を計りかねていると、円堂が相変わらず俺の掌を撫でながら口を開く。

「俺のは、なんか子供の手って感じだろ。同い年なのに。源田ずるい」

言われてみれば。確かに円堂の手は堅く豆だらけではあるが、どこか少年然とした丸みが残る。円堂の口数が少なかった訳に察しがついて思わず苦笑した。何のことはない、単に拗ねていただけだ。

「俺は好きだぞ、円堂の手」
「お世辞はいーよ。源田の手に比べたら全然ひょろっちいしさ…」
「そういうことじゃない」

不思議そうに眉を寄せる円堂の手から逃れて、両手でその掌を包んだ。円堂の手はいつも温かい。子供体温という奴だろうか。もしくは、その温かな心根がそのまま温もりに表れているのかもしれない。

「俺は、俺に触れてくれる円堂の手が好きだ。いつも温かいお前の手がいつも俺に元気をくれる」
「…な…っに、恥ずかしいこと言ってんだよ源田!うあ、…もー…!」
「本当のことだからな」

俺に触れていない方の手で顔を隠そうとする仕草に笑みが溢れた。円堂の手が、その全てが、愛しい。触れていたい。顔を覆う片手を取って、その林檎の様に赤い頬に口付けた。


ふたつのてのひら






源田は素で恥ずかしいことを言ってくると思う。源円はいちゃいちゃさせたくなるな…。
2011/02/12 23:47




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