※多分高校生くらい



時々、テレビのミステリー特集なんかを見ていると思い出す。一時期、宇宙人としてサッカーとかしてたっけ。今思い出すと恥ずかしい限りだが、あの頃は真剣だった。愛されたくて、見捨てられたくなくて。でも今ならわかる。私には、お父様だけじゃない。もっと傍にいてくれる存在も、もっと見ていてくれる存在も、もっと愛してくれる存在も、確かに在るのだと。鳴り出した携帯を開けば表示される名前に、慌てて思考を断ち切り通話ボタンを押した。

「円堂、どうした」
『んー、ちょっとウルビダに聞きたいことがあってさぁ』

ウルビダ。今となっては彼しか呼ばない名前だ。あの頃を思い出すのは恥ずかしいけれど、彼にその名前を呼ばれるのは嫌いじゃなかった。

「何だ?」
『ウルビダの本名教えて欲しくて』
「…知っているだろう」
『ちゃんとウルビダの口から教えて欲しいと思ってさ』

話しながら、それでも漠然と思う。これは葬儀だ。円堂にとっての、終わらせる儀式。彼にとって、明日からの私はウルビダではなく八神玲名になる。それが嬉しくて、けれど寂しい。悲しくは無かった。幸せな気がした。

「私の名前は、」
『うん』
「…玲名。八神玲名だ」
『わかった。……玲名、だな』

涙が出た。これでウルビダは死んだのだ。泣きながらでは説得力は無いけれど、私の心は穏やかだった。円堂、ありがとう。私が今、泣けるのは。あの頃を思い出すのが苦痛じゃないのは。全て円堂のお陰だから。円堂がウルビダを守ってくれていたから。簡単に捨てないで、慈しんでくれたから。

「えん、どう」
『何だ玲名』
「ありがとう」

円堂と二人で参列したウルビダの葬儀は、柔らかい春の匂いがした。


空っぽの棺






よくわからない話ですね。書いていてもよくわからなかったです。ウル円が書きたかっただけとも言う。…ウル円?
2011/02/11 23:25




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