貰い物 | ナノ


APH/英成り代わり黒親分、諾夢




『(……早く着きすぎた)』


会議室で一人、机に突っ伏している名前・カークランド。
彼女は世界会議の集合時間を間違え、約2時間前にやって来てしまった。
2時間もの時間の間、どう暇を潰そうかと考えている間に扉が開く音を名前は訊く。顔を上げた先には名前と昔敵対していたアントーニョがいた。


「うおっ、おま…早!」

『チッ…うるせえ奴が来たな』


あからさまに嫌そうな顔をしてそっぽを向く名前。アントーニョは名前の真正面に腰を下ろした。そんなアントーニョの行動に驚きを隠せない名前は引きつった表情でアントーニョを見た。


『…何で真正面』

「別に何処座ろうが親分の勝手やん」

『胸糞悪いんだよ察しろよ。大体、お前も私の事嫌いだろ?近づいてくんなよ』


苛々したように吐き捨てる名前にアントーニョは少し考えてから、


「えー、親分…名前と友達になりたいんやで!」

『エイプリルフールは今日じゃないぞ。しかも勝手に人の名前を呼ぶな。馴れ馴れしい』

「ホンマやって!昔から目ぇ付けてたのに、ちっとも気付かへんもん」


相変わらず、名前を見るアントーニョ。
名前はアントーニョが何を企んでいるのかが全く分からない、故に恐ろしくも思った。


『(……コイツ、裏じゃ何考えてるか分からねえからな。)』

「もしかして怖いん?昔の事なら気にしてへんよ。それに、別に友達になって油断させておいてから攻撃しようなんて思ってへんしな!」

『今のでお前が救いようのない阿呆だということが判明した』


アントーニョに呆れ、名前は持参のスコーンを取り出した。
スコーンと呼ぶにはかなり抵抗のある黒い物体を口に運ぶとアントーニョは可哀そうなものを見るような目で名前を見た。


『そんな目で見るなよばかあ!』

「……今度、親分のトマト送ったるわ」

『同情すんな!くっそ、むかつく』


アントーニョの気遣いに苛々しながら、名前は誰か来てくれないかと考えていた。
まさにその時である。会議室の扉が開いた。振り向いてみれば北欧のノルウェーが室内に入ってきた。


『ノルか。他の北欧組は?』

「後で来る。俺は時間さ間違えた」

「俺もやで!ちなみにコイツは俺よりも早かっ『余計なこと言うな!』


不思議と引き寄せられるように集まった三人はやることもないので机に突っ伏した。


『あと、一時間半か……暇すぎる』

「んだ…あんこがいれば。暇じゃなかったけども」

「確かに…アイツ騒々しいからなあ」

『お前もだよ!いつもみたいに騒げよ』


名前がだるそうに体を起してそう言えば、アントーニョはああっ!と突然叫んだ。
ぎょっとしてアントーニョを見る二人。アントーニョはそんな二人を気にも留めず、ふっふっふっふと謎の笑いを交えながら、謎の物体を懐から取り出した。


『はあ?何だこれ…アルバム?』

「せや!今から二人にロヴィーノの魅力、たっぷり紹介したるで!」

『意味分かんねえよコイツ!ノルもなんとか言ってやれ』

「俺もあるぞ」

『お前もか!』


そう言って取り出したのは、アルバムであった。
何で会議にそんなもの持ってきているんだ。と名前は頭を抱えたくなった。そんな名前を二人は何か言いたげな表情で見る。それはまるで、お前は持っていないのかとでも言いたげな表情だ。


『持ってるに決まってんだろ!ばかあ』


アルバムを二冊ほど取りだした。
それを見て、負けた…とアントーニョとノルは顔を覆う。そんな二人を満足そうに見る名前。


『仕方ねえから、アルについて語ってやる』




―――……

それから、暫くしてアルフレッドと菊が会議室にやって来た。中から声が訊こえる。
菊は自分達よりも早く着いている人がいたのかと感心しつつ、扉を開けた。


『アル…』

「ロヴィーノ…」

「アイス…」


アルバムを広げ頻りに名前を呟き、落ち込んでいる三人組が目に入った。三人とも遠い目をしている。


「ねえ、菊。」

「なんでしょう」

「何だい。あれ」

「知りません」


菊はそっと会議室の扉を閉めた。



会議室にて


「朝焼けと共に」の桜様から頂きました。
ぐは…っ。なんて素敵な作品なんだ。そしてお前等なんで常にアルバムを持ち歩いていていやがるんだおい主ちゃんに至っては二冊だぞ重いよ腕つるよ。
ふう…もうこの絡み美味しすぎて吐きそう(悪い意味じゃない)
ウワアア…本当にありがとうございました…!!