クラピカ成り代わりとキルアでパロディ
なんかのパロディ。
クロロが成主を幽閉して、なんかどっかの王子?のキルアが助けに来ましたよみたいな話。
「逃げよう。」
「不可能。」
わたしの手を握って顔を歪ませるキルアに、心の中で苦笑いしかできない。そんな顔をされたって、無理なものは無理なのだから、何度来てくれたって仕方がない。手を離せ。無表情でそう告げると、キルアは渋々といった感じで私の手を離し、その場に座り込んだ。諦めてとっとと帰ると思っていたものだから、私は驚いて膝の上にあった分厚い本を落としてしまった。あわててそれを拾って埃を払う。
「…帰らないと、王族の人が心配するんじゃないか」
「べつにー。俺んところ、基本的に放任主義だから。」
「本で読んだ王族の家族は、みんな心配性が当たり前だったんだが…」
「ああ、うん。俺んところも、過保護で放任主義だよ。」
「…意味が分からない。」
まあいいじゃん。その本貸して。 そういうや否や、キルアは私の膝の上から本を奪い取って、それをぱらぱらとめくり始めた。…と思いきや、数秒でその本を閉じた。顔が真っ青になっている。何か悪いものでも見たのだろうか。その本は全年齢向けだから、危ない表現はなかったと思うのだけれど。
「無理。」
「何が」
「文字ばっかじゃん。挿絵とかねえの、これ。」
「…残念。それはお子様向けの本じゃないんだ。挿絵はついていないよ。」
お子様 という言葉が不満だったのか、キルアは右頬を膨らませる。わざとらしく首をかしげてやれば、子供じゃねーし。と不満げな声が返ってきた。子供でしょ。歳、幾つだっけ。 …12。 ほら、子供。
ふふ、と笑えば、キルアはガバリと立ち上がった。
「お前、幾つだよ」
「17。5つ上だ」
「たかが5つだろ。大人ぶんな!」
「されど5つだよ。少なくとも、小説に挿絵がないくらいで読むのをやめるお前に比べれば。」
そう言い返してやれば、キルアはうっ、と言葉に詰まった後、私の膝から再度本を奪い、読み始めた。
「… …」
「……」
ページが進むにつれてキルアの顔がだんだん明るくなっていく。ああ、確か、その本は、森に迷い込んだ仲の悪い子供たちが必死に生き抜いていくうちに友情をはぐくませ、力を合わせて戦い、生き抜いていくサバイバル系の本だったかな。キルアはどうやらはまってしまったようで、夢中で読み進めていく。
何時間たったのか、ようやく半分まで言った本にしおりを閉じ、キルアはこちらを見た。その顔はキラキラと輝いていて、とても楽しそうだ。
「すっげえ面白いな、これ!」
「そう。それはよかった。…クロロが盗ってきた本だ」
「…へえ」
「そう不満げな顔をしない。わたしだって、逃げれるものなら逃げたいさ」
「じゃあ逃げよう」
「無理だ。外にはマチが逃亡阻止念糸を張っている。フェイタンだっていはず。」
「…なあ、なんで俺がここにいるかとかなんで考えねーの」
そういわれて、気づく。そうだ。おかしいじゃないか。何度も何度も何度も、キルアはここにきているけれど、どうやってマチたちの罠を。…そうだ、キルアは言っていた。自分の一家は暗殺一家でもあり、王族でもあると。…暗殺術。呟けば、キルアが楽しそうに笑う。大正解。気づくの遅かったな。お子様!さっきの仕返しとばかりにわたしのことをお子様呼ばわりするキルアはさっきしおりを挟んだ本を脇に抱え、もう片方の空いている手をこちらに差し出している。
「大丈夫。安心しろって」
「信じても?」
「守ってやるよ。ほら、お手をどうぞ。」
「…かっこつけ」
「なんとでも。」
息を吐いて、キルアの手を取る。キルアは嬉しそうに目を細め、わたしの手を柔らかく握り返した。
「しっかり捕まってな。」
「言われなくても。」
キルアの首に腕を回して、ぎゅう、としがみ付く。5つも年下なのに、わたしのことを軽々と横抱きできるのだから、感心せざるをえない。
「いくぜ」
そのあとの浮遊感に、わたしは緩やかに目を閉じた。
title:世界の果てまで連れて行って。
途中から自分が何書いてんのかわかんなくなって、無理やり終わらせました。
クラピカ成主は口調に悩むし別にこれは短編でもよかったんじゃないかと書き終わってから気づく。