成り代わり | ナノ

男装翔成り代わり


 突然だが、わたしは男装をしている。苗字は本名。名前は偽名(名前で女ってばれるから)で、本名は来栖名前。偽名は来栖翔。ちなみにモデルの時は小傍唯として活動している。なぜ男装しているのかというと、それは過保護な弟のせいである。早乙女学園に行きたいといえば持病があるでしょ駄目だよと一瞬で切られた。だがしかしわたしはそんな事でへこたれるほど気弱な少女ではなかった。何とか早乙女学園に行くために那月も巻き込んで薫を説得した。那月もアイドルになりたいって言ってた気がするし別によくね的な思考で巻き込んだのだ。今思えばなんて強引だったんだろうと思う。那月にも多大なる迷惑をかけた。本人は気にしていなかったけれど。
 そして、ようやく折れた薫が持ち出した条件が男装だった。なんで男装なんだと問えば、男装して入学すれば寮で那月と同じ部屋になれる。そしたら発作が起こっても大丈夫。だからだそうだ。それと男装がばれた場合は連れ戻されるらしい。我が弟ながら、すっごく怖い。とりあえず声を低くする練習をして、男装用メイクの練習をして、完璧にそれらを習得してわたしは、無事学園に入学した。
そして入学してしばらくたったある日、わたしは危機に瀕していた。

「えっあれっ、えっ?」
「お…音也…。」

目の前には混乱顔の音也。音也の目の前には男装していない素のわたし。バリバリ女の子である。…やばいね!

「翔って、あれっ、男なんじゃ、えっ」
「な、何言ってんだよ音也ー。俺は男だぞー!」

幸いわたしの髪は短かった。悲しいことに胸も結構ぺったんこなので、ここで翔を演じれば切り抜けられ…っ!

「え、いや、女の子でしょ…?」

なかったあああーーーー!!
どうしようどうしようわたしうわああ薫に連れ戻される…!せっかくここに来れたのに。夢が叶うのに。ばか、わたしのばか!那月に部屋でも男装してなさいってあれだけ釘刺されてたのに!那月かと思ってドア開けたら音也だったとかどういうことなの!
どういえば誤魔化せられるかと思考を巡らせると、遠くからレンが歩いてくるのが見えて、私は絶望した。

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