※ED後
「ああディセンダー様!我々にお恵みを…!」 「救いを!恵みを!」
仕事の目的地に向かう為、たまたま通りかかった村。 そこでは村外者のキールとメルディが入ってきても、彼らは二人に興味を全く示さず、ただひたすら遠くに見える世界樹へ乞うように頭を下げている。
「この村にはレシェンの星晶がこなかったか?木枯れてる、それに花も咲いてないよ」 「いや、違う。彼らの足元を見るんだ」 「え?」
キールが指さしたのは、村人たちが踏みつけている地。 メルディは不思議そうに首を傾げながら彼らの足元を見ていたが、ふと何かに気が付き、目を凝らす。そしてそれが何か分かると目を見開き、次に悲しそうな顔に変わった。 そこには、枯れ果て潰れた植物の芽がいくつも忘れられたように頭を下げていた。
「あれ…もしかして作物か?今が時期なら、もう実生ってるはずだな」 「多分あれはレシェンが帰った後に芽を出したんだな。でも、彼らはそれに気付いてない、あれがディセンダーからの恵みだって事にね」 「ファラ、芽を見つけたら大事に育ててたよ。でも、村が人は何故育てなかったか?」 「きっとこの村の人々は、ただディセンダーが自分たちに無償で恵みを与えてくれると思ってるんだ。農家の人間なら、芽を見たらファラのようにすぐ分かるだろ?でも、彼らは分からなかった」 「村が人は、芽を知らなかったか?」 「だろうな。自らの手で恵みを育てもせず、ただ祈ってばかり。楽して恵みを貰おうなんて、全く…お気楽で愚かなことだよ」
メルディは自分の足下ですっかり枯れ果て下を向いてしまっている芽を見つけると、その場にゆっくりしゃがみ込んだ。
「……この枯れた芽、レシェン見たらきっと悲しむよ…」 「…ああ。そう、だな」
メルディは優しく芽を撫で「ごめんな」と、小さな謝罪の言葉を口にした。それは生まれてきたのに踏みにじられた芽に対してなのか、それとも身を挺して恵みを与えてくれたディセンダーへなのか。 どちらにしても、謝るべきなのは君じゃないのに。
キールは今にも泣き出しそうなメルディの顔を見た後、未だに世界樹へ乞い続ける村人たちを静かに睨みつけた。
チャリティーの死体
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