※ゼロスがツン全開(当社比)

ディセンダー、そう呼ばれる彼女は…うん、まあ顔は美人系でよし。俺様えり好みはしないけど。そして俺様とはまた違う澄み切った青空の左目に、逆に光の無い日暮れの右目。最初しいなと俺様を追いかけてきて、美人が来たからまあよしとそのギルドへ足を踏み入れてから数週間。
正直その子は俺様の苦手なタイプだった。誰にでも良い顔して、手を伸ばして、それにみんなあっさり絆されて。あーもう、そういうのばっかばかしい。俺様あーゆーの一番嫌い。知ったような顔して人の心に土足で入ってくるなんて勘弁してほしい。同情?まっぴらだね。彼女の友達からすれば、レシェンはきっと人の気持ちを理解してる、だってさ。結局他人なんだから、レシェンちゃんに俺様の何が分かるのさ?


「分かりませんよ、何も」


思わず漏れた本音に返ってきたセリフがコレ。
ちょっと意外だった。こういう無駄に正義感溢れるバカみたいなタイプはどーせ「分かる」みたいな言い返しでもくんのかと思ってたら、けろっとした表情で言った。


「分からないからこそ、こうして話をして、理解していきます。だからゼロスの事は、ゼロスからよく聞きたいです」


そっかー、でもお生憎様。俺様、他人に自分のことホイホイ話す気はないなー。とりあえず、この男らしさと美貌は見れば分かるでしょー?麗しくて最強の魔法剣士よー、でひゃひゃ。いつもの「軽率」な態度でそう言ってやると、何故か彼女の表情が少しだけ険しくなった、ような気がする。ん、なんか俺様変なこと言ったっけ。


「ゼロスは確かに綺麗です。ですから、強がって下手に作り笑いはしない方がいいと思いますよ」


自然に笑った方が、きっと綺麗なはずです。そう言って、彼女は友達の方へ歩いていった。
ちょっと、何で分かったの。俺様、これだけは誰にもバレない自信あったのにさ。そんな分かりやすい顔してた?それとも…本当に俺様のこと、…いや、絆されたら負けだ。下手な感情を振り落とすように、ぶんぶん首を振る。理解者とかなんていらない。20年そこそこ、そう自分に言い聞かせて…言い聞かせて?あれ、俺様結局どうしたいんだっけ。言い聞かせてるって事は本音じゃないって?

なあなあ、俺様が本当はどうしたいのか、分かってくれる?分かるなら、助けてみせてよ。

なんてね。


気づかないでお願い気づいて

title by:確かに恋だった



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