▼ 2021.03.23 _etc


gndm/種運命/ジュール隊長と隊長機付きの整備士の話



昔から人という生き物と関わる事が得意ではなかった。
それは身寄りのない私を引き取った者の影響が大きかったといえば嘘ではないがこれは元々の性格でもあるのだろう。

それもあって私の遊び相手は必然的に人ではない無機質な物になった。

中でも機械は相性が良かった。
命令文通りに寸分無く動き、組み立て通りに仕上がる。
余計な思考なしに0を0で返し1を1で返してくれるソレにのめり込んで行くのは時間の問題だった。

そうして黙々と機械弄りをするようになった私をどう思ったのかは知らないが、突然に軍に入れられた時には流石に色々と察するものがあった。

最初は適度に働き稼いで除隊するつもりだった。
だが働いて分かったのだが、多少の人間関係はあるがそれを加味しても、衣食住が保証されて最新鋭の機械を弄る事が出来る軍は私にとって天国のような場所だった。

そんな場所と分かってからはずっとドックに籠る日々が始まった。

除隊なんて考えはとうに捨て去り朝から晩まで挙句は休日まで、人との接触は最小限に自分の満足のいくまで機械弄りに精を出した。
今までもそうだったしこれから変わらずにそうなのだと疑わずに毎日を過ごしていた。勿論、それは今日も同じだった。はずだ。

「おい。...次の休日、休みが被った。...出掛けるぞ」
「...は?」

人気のないドックの中、己の打ち込むキーボードの音を遮った目の前に仁王立ちしているこの人は現在整備を担当している機体の搭乗主であり、この艦で一番偉い人で一番美人な人だ。

この美人...ジュール隊隊長であるイザーク・ジュールに拾われたのは半年程前の話だ。色々な隊をフラリとしていたところに直接声をかけられた。その当時“住処”にしていた隊にも特にこだわりもなかった為に誘われるがままにこの隊に来れば、その後は今日まで恐れ多くも彼の搭乗機体を有難く整備をさせて頂いている。

閑話休題。

私の間抜けに返した一言に大層御立腹と言わんばかりに眉間を皺を寄せているが、それでも尚、美しいというのは羨ましいと言うべきか否か。この空気では言うべきではないし話の流れも唐突すぎると改めて振られた話に対して口を開こうとすれば先に怒号が飛んできた。

「は?ではない!!?貴様、俺の話をちゃんと聞いていたのだろうな?!」
「あ、はい、いや...、」
「えぇい、聞いていたのかいないのかどっちなんだ!??!」

その返事では分からんだろうが!?!!?
と癇癪を起こす姿は副官に時たま当たり散らしているので見た事があったがまさか自分が受ける事になろうとはとどこか他人事のようにその“お怒り”を受け取りながら我等が隊長殿から先程頂いたお言葉に対して口を開いた。

「ジュール隊長、その、」
「...っ、なんだ」
「失礼を承知の上で申し上げますが、私とシホを間違っては「いない!」...失礼しました。」

似たような髪の長さと髪色を持つ我が隊のパイロットの中の紅一点の名前を挙げようとすれば即座に否定が入った。どうやら間違えてはいないらしい。

「お前は、その、...、だ、な。俺と出掛けるのが、...嫌か?」

分かりもしないのに彼の思考を読み解こうとしようとすれば、急に先程の癇癪度合いは何処へ行ったのだろうと言わんばかりにしおらしくなり落ち着かない様子で此方を伺って来るその仕草は、そういえば、誘われた時もこんな感じだったな。と既体験感に少し懐かしさを感じた。(....まだそんなに月日は経っていないが。)

そんな事を思いつつ、隊長と出掛ける事に持ち合わせる嫌悪的感情等は特にない為にそう返事を口にする。

「いえ、嫌と言う訳ではありません。」
「そ、そうか!!」

表情に少しの高揚が見られた。これにも既体験感。

「理由が分からないのですが。...何故、私に?」

たまの休みもドックに引きこもり機械弄りばかりしている部下に隊長なりに気を利かせているのだろうか?...貴重な己の休みを潰してまで?
元々、人の考えが理解出来る方ではないが、目の前にいる隊長の考えは普段の隊長よりも輪をかけて分からない。

分からないのなら聞くしかないだろうと率直に口を開けば、また歪められる表情。やらかしたかと思うのと視界が塞がったのはほとんど同じタイミングだった。

「11時集合だ、分かったな!」

目元を塞いでいた紙切れに並ぶ宇宙工学の歴史展の文字列。
私の予定が空いているのかも聞かずにこれを残していった彼の姿はもう既に見えなくなっていて

「どこに集合するんだろ...。」

就寝時間近い誰もいない静かなドックの中に小さな呟きが響いた。



人生で一番長く推してるキャラです。
今度体験入学イベントがあるという事で我慢出来ずにショートで書き起こしました。
私も料理食べたい...せめてグッズ手に入らないかな...。






▼ 2021.03.16 _AN

◆博に成り代わった現代人と妹の兄の誕生日についてのちょっとした小話
(博はそんなに病んでないよ。★0.5ぐらい。)

前回の続きになります。



「何か、欲しい物はあったり…しますか?」

最近は不機嫌な天候が続いていたのでヘリは飛ぶかと心配していたが何の事なく本日の天気は久々の晴天。
柔らかな風に心地良く吹かれ少し眠たくなってきた時間帯にやってきた彼を応接室に迎えた。
いつも通りの定例的なロドスとカランドの情報共有後に、これまたいつも通りにやってくる二人きりの他愛もない世間話の時間。いつもであれば彼から話を切り出すが今日は己から話を切り出した。

率直すぎるだろうか、と思いつつも開口一番に放ったその言葉に、少しの寛ぎを見せてその長い脚を優雅に組んで紅茶を飲もうとしていたのであろう目の前の男の動きが止まる。

驚いて、いるのだろう。…多分。
その証に頭部に鎮座した一対のそれも、時折持ち主より分かりやすく主張する白い尾も動きを止め、此方を覗き込んでいた眼差しもいつもより少し大きく開かれ、その中に光る綺麗な冬色がよく見えた。

己から切り出したとはいえ、こうも長く彼との沈黙が続くのは初めてで。
少しの居心地の悪さから再度口を開こうとすればかちりと小さく陶器の重なる音がして、動きを取り戻した彼がゆったりと口を開いた。

「盟友よ、すまない。今、なんと?」
「その、欲しい物はあったりしま、す、か…。」

それは己が放った言葉を上手く飲み込めなかったのだろう彼の心境だった。
やはり率直すぎたと己の物言いに今更恥ずかしくなり語尾が小さくなりつつも先ほどと同じ言葉を繰り返す。
そして、"誕生日おめでとう"を先に述べるべきだったと自分の先走ってしまった言動を反省し、改めて、彼の誕生を祝福する言葉を口にした。

「誕生日、おめでとうございます。遅くなってしまったけど、よければ私からも祝わせて下さい。」

漸く私の突然放った言葉の理由を理解したのだろう。
開かれていたそれが見慣れた少し細いものとなり、微笑から口角が上がって柔らかそうな耳がひくりと小さく動いていた。

組んでいたその長い脚を解き、此方へと手を伸ばされる。
今の彼の纏ういつもと違う雰囲気から正直なところあまり近づきたくはなかったが、飛ばしてくる視線と催促のように更に伸ばされる手には逆らえずに席を立ち、彼の隣へと移ろうとすれば腕を掴まれ、そうしてそのまま力の入ったそれに引かれてしまえば彼の膝の上を跨ぐ恰好となってしまう。

彼は何かと私と距離が近い事を良しとする。このような二人きりの状態だとそれは特に顕著だった。

この体の"私"と彼がどういう関係だったのかは知らないがもしかすると"そういう関係"だったのかもしれないと、下手に距離を取れば怪しまれるかもしれないとなるべく彼のなすがままにさせている為、時折このような距離感のおかしい状態になってしまうが未だにこの至近距離で見るこの男の美しい顔に慣れる事はなく、赤面してしまう。この付けているマスクには何度感謝した事か。

「その祝言、頂戴した。…だが、友よ。あまりに具体性の無い卒爾な言動は感心しないな。
 私がお前の用意出来ない物を欲したらどうするつもりだ?」

「出来る範囲のもので…その、お願いします。」

短い経験からでも彼はそのような無理を振ってくるような男ではないという事は理解している…つもりだ。
注意を促す言葉の内容とは裏腹にその表情は酷く楽しそうにしているのできっと揶揄しているのであろう。
先程からぱたりぱたりとソファを叩く彼の尻尾も遊んでくれと言っているようで、

彼との物理的な距離感は気にはなったが、
これも日頃お世話になっている彼への"誕生日祝い"だと暫し言葉遊びに付き合う事にした。



まだやる気のある頃の病み度ほぼない成り代わり主と銀灰の話。
★0.5も病んでないね。0.01ぐらいなのでは?いやそれすらもない...。
更に続きを書いてもいいけどいったん此処で区切り。
妹のプレゼントはこの後、いちゃこらした後に渡してるよ。

改めて銀灰誕生日おめでとー!(遅い!)


▼ 2021.03.10 _AN


◆博に成り代わった現代人と妹の兄の誕生日についてのちょっとした小話
(博はそんなに病んでないよ。★0.5ぐらい。)


「誕生日だったのか…。」

それはつい先程まで廊下で立ち話をしたクリフハートからもたらされたちょっとした情報。
何気ない会話の中でふとした拍子に触れてしまった”兄妹“の話。
彼の従者ですら触れようとしない話を部外者の私が触るなど許されるはずもなく、それとなく別の話題へ持っていこうとした時に彼女の口から出たのは兄の誕生日の話だった。

贈ろうと用意したものの、どうやって渡そうかと悩んでいたら当日が過ぎてしまったと笑いながら言う彼女の表情にはどこか落ち込んでいるようにも感じられ、思わず今からでも遅くはないと声をかけた。でも…と彼女らしくない迷いの言葉を続けた為に、少し強引にではあったが彼女の部屋まで引きずって、目的の物を出すように迫った。

部屋についても色々と迷っていたようだったけれど、最終的には“お願い“されたそれ。

本当は本人から貰えるのが一番嬉しいだろう。
けれど、ちょっと拗れたこの兄妹の関係性を考えると誰かが間に入ってでも彼女が用意した物が渡る事が大事だと思って、預かった。

控えめな箱の中身は何かは知らない。けれど、これを用意するのに費やされたものは控えめと言えるようなサイズでは到底ないだろう。

いつもならこんな強引な事はとても出来た事ではないけれど、この兄妹、特に兄には何かと世話になっている。…なり過ぎているところがある。
だから、ではないが。何か彼の為になるような事をしてあげたかった。

いつもは我関せずと言わんばかりに妹との接触をしないが、彼と2人きりになると時折ぽつりとこぼす、妹を気遣うような話。
表向きには適当な理由を用意して、妹の為に従者をロドスに派遣し、食事にまで気を使っているそんな兄が妹から貰うプレゼントを喜ばないはずがない。

これはとても重要な仕事だ。と、
落としてはいけないと資料よりも大事に抱えて彼女の部屋を出て来たのだ。

自室までの廊下をいつもより足元に注意して歩く。

さて、妹からの物は預かったが自分はどうしようか。
誕生日だったと言う話を聞いてしまっては遅れてしまって申し訳ないが、それでも、何かしら用意したいと思ってしまうのは致し方なしなところで問題は何を用意するか。

今日はロドスにいない彼の顔が頭に浮かぶ。

多忙にも関わらず嫌な顔一つせず、此方の要請に快諾し前線へ立ってくれる銀髪のあの社長は何か欲しいものはないのだろうか

それなりの立場だ。自分で用意が出来ると言われてしまえばその通りなのだが、それでも何か、用意したい。でも、下手なものも送れないのは事実で…

であれば本人に聞くのがいいと判断して。

自室へ戻り次の彼が訪れるであろう予定日を確認する。
最大限の事が出来るようその日は極力予定がないようにスケジュールを調整する事にした。



キリの良きとこでアップ!
続きはまた今度。




▼ 2021.03.09 _GRBL

◆懐獣主とジさんの初ギュステに到着した時のちょっとした小話。
時系列的には寒い夜の話よりも後ろな話。
●●を好きな名前で妄想して頭ゆるゆるで読んでください。

◆◆◆

もう思い出せない香りだと思っていた。
もう思い出す事もないだろう光景だと思っていた。

「どうだ、見事だろう?」

ジークフリートに連れられて出てきたグランサイファーの甲板。
室内から出てすぐ●●の目前に現れたそれは、海だった。
目の前に広がる澄んだ青色はもう帰る事はない向こう側にしかないものだと思っていたからこそ、今、自身の瞳の中を支配するその色に酷く驚いてしまい声が出ない。

「“海“というそうだ。」

その驚きようの受け取り方を“そう“捉えたのであろうジークフリートが紡ぐ。
もっと近くで見ようと●●は手を引かれ転落防止にかけられたグランサイファーの甲板を囲む柵の前まで連れられて。落ち着く為に吸い込んだ空気の中にそれを感じて懐かしさと、またそれとは違う言葉にするにはまだ難しい形を留めない靄のような感情が胸を渦巻いて、彼の言葉にまだ返事が出来ないでいた。

と、流石にその様子に気づいたジークフリートが●●が映す青の世界にふと入り込んできた。

「!、ジークフリートさん危ないですよ。」

柵に腰掛け、それでも己よりも大きいその美丈夫が此方へと屈んでくるが腰を掛けている場所が場所。まだドッグにすら入っていないこの停留所では誤って落ちてしまえばそこは空の底。

そこから降りましょう。と声をかけるが少し眉間に皺を寄せた彼の無言が“NO”と言っていて…。

どうにもこの男、自身の前では少し“我儘“なところが出てくるようで。
仕方がないと、シワになってしまうと気にするよりも彼が落ちてしまう事の方が余程の大事な事なので、軽装に身を包んだジークフリートの上着を引っ張りそこから下ろそうとすれば、そうする事を分かっていたのか力につられて傾く身体に●●の視界は覆われてしまった。

「…お前の故郷には、あったんだな」

耳元に落ちてくる言葉は落ち着いていた。
確信を告げる内容に●●は顔を上げれば落とされた言葉とは裏腹にどうしようもない程の感情を載せた表情を露わにした彼がそこにいた。

「寂しいか?」

「故郷が恋しいか?」

「帰りたいか?」

「そう望むか?」

「俺はお前を離してやれそうにない」

「●●、す「ジークフリートさん。」

ぺちりと小さく響く頬を叩く音。
●●がジークフリートの両頬を叩いたのだ。
その彼の両頬を襲った痛みのない柔かな衝撃と遮るように呼ばれた名前に漏れ出たジークフリートの吐き出す欲が止まった。
この光景を何処ぞの騎士団長が見れば驚きの声をあげるだろうが彼は今、ここにいない。彼どころか島への降り支度をしているのであろう団員達は皆、室内で騒がしくしている。今この甲板にいるのは2人だけ。

「私は、私の意思で、望んで此処にいますよ。
 貴方の側にいる事を望んで、ずっと此処にいるんですよ?」

戦闘時のあの喰われるとすら思わせる鋭い視線はどこへ行ったのか、揺らぎを見せる彼の瞳を覗くようにして紡いでやれば、その鈍い黄金色が線を返す。

「これからもそれは変わりません。」

向こう側で見たことのある青に、懐かしい。と、感じた。明確に言葉するにはまだ難しい心境もある。でも、寂しさという感情が最初に●●の中に出て来なかったということは、

「私の方も、ジークフリートさんから離れられそうにありませんので」

ーーーきっと、そういう事なのだろう。


◆◆◆

うちのジさん、(解釈)合わないって人多そうで
大丈夫かな…って思いながら載せてるところもあります。
私のサイトなのでここは私の世界線!!!(という勢い大事)




▼ 2021.03.08 _GRBL

◆フレイ/短編_02

ついてない、ついてない、ついてない。
今日はとことんついてない。
おみくじを引いたら確実に凶を引く自信がある。
神様だって、きっと太鼓判を押して凶判定を下さるはずだ。

それぐらい今日はついてない。

朝一で宿の階段を踏み外すのは序の口で、昼食を取ろうと街を散策すれば段差に足を取られ派手に転んでバックパックをぶちまけた。
その後、荷拾いを通り掛かったお兄さんが手伝ってくれたと思えばそのままいくつか荷物を取られて、また、そのいくつかの中身が悪かった。財布を取られてしまったらしくその後、ご飯にもありつけない。

弱った。非常に弱った。

利用している宿に戻れば食料の入っている別の荷物があるが、今いる町はその宿がある町より離れているのだ。少なくとも人間の足ですぐには戻れる距離ではない。

「フ、フレイ…。」

頼れる彼は今、傍にいない。金になる魔物を狩りに行ったのだ。
猪を傍へ置いていくと言われたが、たまには1人で羽目を外したかったというのもあり断った。
最初は許可出来ないと嫌がるフレイだったが、後生の頼みだとお願いし続ければ最終的には渋りながらも我儘を聞いてくれて、
条件として提示された首にかけられていた緊急用のフレイ呼び出し笛は財布と一緒へいずこかへ

腹は減った、帰れない。猪はいないし、フレイもいない。

さてどうする。と悩んだが、
解決策も出て来なければ、ろくな発想も生まれてこないというもので、そうだと閃いた案も普通であれば絶対に取らないような選択肢なはずが、選んでしまったのもまた今日の"ついてない"故か。

「いってみようかな…」

フレイが受けた討伐依頼は把握している。飛んで行った方向も分かっているし、依頼主も町からそんなに離れていないと言っていた。

大人しく待っていればいいものを、空腹がいつもは小さな冒険心を大きくさせたのかは分からないがすっかり軽くなってしまったバックパックを担ぎなおして

勢いというものは凄い。

町の外へ踏み出した時にはもうすっかり忘れてしまっていたのだ…。
今日はとことんついていないという事を。


◆◆◆

ジさんアップ予定だったんですがすいません!!フレイの妄想を吐き出したくて...!!!
これ続きは年齢制限のかかる話になります。アップするかは悩み中。

フレイってバフデバフばら撒く子なのでどういった能力かちゃんと理解できてないので(風関係でいいの?それとも土なの?)公式よフレイのプレイアブルを...プレイアブルを...!!!



▼ 2021.01.03 _GRBL

年明け早々にお前は何を言っているんだと言われそうだけど、フレイにしっかりと主の体調管理する為に改めて人間の身体構造が知りたいって言われて断りきれずにセクハラ紛いな事をされてるこないだここに吐き出した夢主ちゃん設定での話をしたいんだがフレイはそんな事しない!!!!!って怒られそうなので此処にそっと溢しておく。

いや寧ろにゃんにゃんした話書きたい。年明けからムラムラしてる。これはいけない邪を祓いに行かなければ
(追伸、ジクさんの話中々上げれずすいませんー!忘れてないです!!)

あとよくありがちな指輪(特殊強化)がアクナイ君世界にあったら設定で各キャラ書きたいしアー君とへラグお爺の後編も書き終えたいなぁ


▼ 2020.12.19 _GRBL

◆フレイ/短編_01

“此方側“に来る直前の出来事をふと思い出した。

それは月も何処かへ隠れてしまった深夜の帰宅道だった。仕事の多忙さから来る疲労感が酷く伸し掛かって来ていたその日は早く家に帰ってまた明日の仕事の為に休まねばと思いながらも最近何処かへ行ってしまった自分の時間が恋しくて...。

恋しいのなら、求めればいい。すぐそこにあるのだから、少しだけなら問題ない−...。そんな言い訳をひとつ自分にして、肥えた疲れをお供にふといつも使う帰り道とは別の道へと旅をしてみたのだ。

そうすれば見慣れない建物がようこそと顔を出す。こちらへどうぞと街路樹が案内をしてくれる。久しぶりに訪れたほんのちょっぴりの自由と解放の前にお供の疲れがひっそりとさよならを告げた頃、現れたのはお婆さん。

人通りも少ない道にひっそりと占いの看板を立てたお婆さんだった。

いつもだったら気にも留めずに通り過ぎて行っただろう。今にして見ればあんな場所で深夜にポツリとそんな露店を開いている事自体可笑しな事だったのに、けれどその日はとてもそれが目に止まったのだ。

そうして気になってしまえば、自然と身体はお婆さんと机越しに用意されていた椅子に滑り込む。

そんな私に気づいて人の良さそうな笑顔を向けてきた人生の先輩に、己の生まれた時から刻まれている運命が一体どんなものかを観てもらう為いざ利き手を差し出せば

あぁ、そうだ。あの時、お婆さんは、今、私のこの目の前に座って問うているお爺さんと同じ言葉を発したのだ。


「うつくしいいきものになりたいかい?」


どうしてだろう、性別も違えば“此処”は世界も違うのに。
そう問うてくるお爺さんは“向こう”であったお婆さんと、酷く重なってみえる。


「うつくしいいきものになりたいかい?」


何の脈略もない意味も意図も掴めないこの問いに私はあの時、何と答えたのだったろうか?


「なぁ、お嬢さ「主、」


ふと背後から落ち着き払った声がかかる。
いつか答えた言葉が眠る記憶の深海へと潜ろうとしていた意識が浮上してくる。


「フレイ、」
「主、“其”に関わってはいけません。」


行きましょう、此方に。

そう言われて抱き抱えられ乗せられる金色した猪の背。慌てて何か言葉をと、口を開く前にフワリと浮いて風に流されていく。何故か笑うお爺さんに見送られ、小さくなっていく街々と徐々に強く吹いていく風が離れていく距離を教えていて遂には見えなくなったその島の影に大きく溜息をついていつもより難しい表情を見せる隣を飛ぶ美丈夫へと言葉を溢す。


「フレイ、あれはちょっとお爺さんに失礼だよ」


普段であれば街中では私の半歩後ろで澄まし顔して大人しくしているフレイらしからぬ突然の先程の行為に少し乱れた心拍数を落ち着かせながらも、回答も挨拶もなしに飛び出してしまったよと付け足して言えば、その難しい表情に器用に少しの憂いを乗せて此方へと身体を寄せて来る。


「申し訳ありません、主。
 ...しかしあの者は交わってはいけないモノ。
 どうかご理解を。」


そう言って大きな両の手に包まれる己の手をギュッと握り締められて、今後、見かけても言葉を交わされませんよう。と更に念を押される始末。

何故?と聞いてもきっと答えてはくれないだろう。
フレイはいつもそうだ。

ふとした時に出会う“向こう側”との痕跡。
それは時に物だったり、時に風景だったり...。
私とその痕跡への接触をフレイは極端に嫌がる。

”セイショウジュウ“特有の特別なチカラで感じとるのだろうか?私にはよく分からないけれど、その摩訶不思議なチカラで痕跡を感じ取って澄ました顔してスルリと私を遠ざけては後々、今みたいに難しい顔をしてなんの説明もなくそれに触れるなと、そう...駄々を捏ねるのだ。

(そう言えば、“人”と接触するのは初めてかもしれない。)

だから慌てて先程のような行動を取ってしまったのだろうか?
彼にも気づかない想定外な痕跡との接触もあるのだと思いつつもそれはフレイのみぞ知るところ。


「心配かけてごめんね、次から注意する。」


そう彼に向かって言えば少し和らぐ表情に笑顔を向けて


「さて。ご飯食べる前に出て来てしまったのでお腹が空いています。スピードを上げれる?」

「承知致しました。追い風を吹かせましょう。」


風に膨らむ服を押さえつつ少し硬毛な金色をしっかりと握って振り落とされないようにすれば、フレイの一声に途端後ろから襲い来る風、空を渡る猪とその主人の進みが速くなる。

天気は快晴。空を飛ぶには絶好の日和。

びゅんびゅんと並んで飛ぶ1匹と1体と1人の影を雲の絨毯に見つけて眺めていれば、あぁ、そう言えば、と思考が過ぎる。

私はあの問いになんと答えたのだったっけな...。


◆◆◆


以前呟いた
「落ちてきた夢主とフレイな話」
をちょっと設定変えてゴネゴネしてみた小話。

元の世界に絶対に帰したくないフレイとどっちつかずな夢主。
今の旅も悪くないなんて思いつつあるのでフレイの言う事を聞いてるところがあるんだろうなって感じの徐々に空の世界の住人になってく夢主です。

マイペース真面目フレイとはちょっと離れてしまったけれど、吐き出せて満足。プレイアブルじゃないとこもあって上手く掴みきれない。そして私の浴衣フレイどこ。どこなの。(今更)

ジオくんはどこかへいきました。ごめんね!

お題「うつくしいいきものになりたいかい」
http://lunarblossom.chu.jp/hinge/




▼ 2020.09.09 _GRBL

流星群の降る夜に星屑に混じって落ちてきた夢主を星の民と勘違いして拾った何処か天然で抜けてるマイペース真面目君なフレイとそんなフレイに振り回される夢主の話したいんだが...夜だから許されない?だめ?


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