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 目を覚ましたら見知らぬ場所にいた。
 確かにここ最近疲れていた自覚はあるが、自分が何処にいるか分からなくなるまではいっていなかったはずだと考えてみて、それはどうだろうかと思い直す。
「夢か…」
 夢なら、良いのにと思う。
 たとえ一人ぼっちの生徒会室に戻ることになったとしても、見知った場所だというだけで心が安らぐはずだ。
 先程まで確かにいたはずの生徒会室の煌びやかな家具類は、体を起こして周りを見渡してみたところで、何一つとして見当たらなかった。
(……木と、草…)
 一面緑色の場所に、見覚えがあるような気がしながらも、不安を覚えた。
 何にしても、まずは状況を整理しなくてはならないと考えながらも、仰向けにその場に寝転んでしまっだ。そうしてしまうくらいには、肉体的に、疲れていた。だから、もしかしたら。こうなって良かったのかもしれない。
気付けば、周りの状況を把握する前に、瞼を下ろしてしまっていた。下ろした瞼の向こう側で、チカチカと光っているのはきっと、木々の間から漏れている陽の光だろう。温かさが心地好いと思いながら、思考を巡らす。
再三の確認になってしまうが、少し前までは確かに、生徒会室にいたはずだった。生徒会長席に座り、たった一人で、他の役員の仕事を片付けていた。生徒会長という役職に就いてしまった以上、職務を全うしなければならないと考えて、自分以外誰もいない生徒会室で、書類の整理をしていた。数週間前に来た編入生にかかりきりの他の役員たちとは、此処最近、顔すら合わせていない。仕事をしてくれと頼むより、自分で片付けてしまった方が早いと思ってしまった為に、会いに行こうという気も、起きなかった。
 結局のところ、そうしていたから疲れがたまっていたのだろう。
(でも、)
 たとえ、一人で書類を片付けなければならないとしても、見知った場所にいたかった。そう思う自分と、今自分が置かれている状況が夢でも現実でも構わないと思ってしまう自分がいることに驚きながら、そう考えてしまえる程に、精神も疲れていたらしいと、結論付ける。
 編入生が来るまでは、生徒会役員全員、和気藹々と仕事に取り組んでいた。それがこうも容易く壊れてしまうと、今までの自分たちの関係はいったいなんだったのだろうかと、そんなことすら、考えてしまう。

本編に続く


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