Their story ≫ 第四幕
寮部屋にて会談
なあに蒼たんいつのまにそんなにおいしい展開になってたの!?僕ちんマジで本当に知りたなあ、ほかのフラグはどうしたのかなあ、たとえば、ななりんとか。つづみんとか。どうしたのかなあ?
溝口の言葉に、うざいと思いながら、蒼は彼を、足蹴にした。
悶えている彼のことなど、知らない。
「……、」
青褪めている劉堂に向かい、蒼は微笑みすら浮かべながら、言った。
「気にしないでくださいね。溝口は常に、おかしいので。むしろ、まともな時なんて、あってないようなものなので」
そんな蒼の言葉を聞いたらか、劉堂は、大人しい。
多少は抵抗されるだろうと思っていた蒼は、若干どころか、かなり、脱力した。
そもそも、自分が手を引いて、素直についてきてもらえるとは、思ってもいなかった。
「―――みぞぐっちゃん」
「んー?」
おそらく自分が考えているよりも更に深いところまで調べる事が、出来てしまった劉堂を、そのままにしておくわけにもいかないと考えながら蒼が言えば、全く気にしていないと言わんばかりに、溝口は笑っていた。
(ほんと、こわ…)
怖いと思ったところで、蒼が溝口に対して、行えることなど、ないに等しい。
だからこそ、蒼は笑いながら。嘘ではなく、冗談を言う。
それに、溝口が乗っかってくれることを、知っているために。
(だから、好きだなんて、言わないよ)
蒼の心中は、蒼にしか、わかりはしない。
2018.03.09