Their story ≫ 第四幕
寮部屋にて分析
「悪ふざけしたのはゴメンだったけどさ…最近ほんと、冷たい…」
「気のせいでは?」
溝口の言葉に、蒼は即答した。
「………気のせいじゃないと思います」
「そっかあ」
「夕飯何食べたい?」
「うどん。手打ちの」
「ばかっ!今からじゃ間に合わないに決まってるデショ!!!でもうどんにしてやっからな!覚えてろ―――!」
そう言って財布を持って部屋を飛び出していった溝口に、届かないとは知りながらもいってらっしゃいと告げ、蒼は考える。
溝口のノリは正直なところ、よくわからない。
それはこの学園に来て彼と同室になってからずっと思っていることだった。
(まあ、それは、置いといて)
考えてみたところで結局、分からないのだからその時々で対応すれば済む話だ。
それよりも、今後自分がどうしていくかのほうが問題だと、蒼は考える。
ここ最近、天城は随分と落ち着いてはいるが、だからといって周りとのいざこざがなくなっているわけではない。
ゲーム開始の合図こそしたが、ゲームについての組み立てをしているのは響山であって、蒼ではない。
今、響山がどう考えているのかは分からないが、当初彼は彼自身も天城で遊ぶつもりだったのだろうと、考える。
そうでなければ、自分に天城が転入するその日に、様子を見に行けなどとは言ってこなかったはずだ。
「わかんないなぁ」
「たっだいまー!!!わかめうどんにする?きつねうどんにする?それとも、か・き・あ・げ???」
「………良ホモでも見つけたんですか溝口君は。おかえり」
何故にそんなハイテンションなのかと思いながら尋ねれば、溝口は元気よくよくわかったねその通りと、笑った。
「いや〜遠藤と不良君が良い感じでね〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
ふふふと笑いながら言う溝口を見て、蒼は引いた。
「あ、そう…」
「いいよね…訳有り病弱受け…。不良君は溺愛攻めだよあれは。そう思う。ていうかそうであってほしい」
言いながら食材を持ってキッチンに向かった溝口に、蒼は言う。
「わかめうどんで」
「遅っ」
わかめうどんね。おっけー。ボクはきつねにしよーっと。
そう言いながら調理を始めた溝口に、蒼はシャワー浴びてくると言い、その場を後にした。
2013.06.09
2018.02.11