Their story ≫ 第四幕
教室にて困惑
これはいったいどういう状況だ。
目を覚ました蒼はそんなことを思った。
少し身動ぎをすれば、七草はすぐに蒼が目を覚ました事に気付いたのか、目が覚めたみたいだから、本人に聞いてみなよぉ。と、誰かに向かって言っていた。
最も、蒼はその時既に、七草がそう告げた相手が誰であるかを察していた。
七草とやりあおうと思う相手など、このクラスには一人しかいない。
「………どういう、状況?」
「おはよぉ、蒼ちゃん」
良く眠れたぁ?
状況を尋ねたにも関わらず蒼は、とりあえずその問いかけに頷きで答えた。
「それはよかったぁ」
「おい」
「休日に家に帰らなかったんだねぇ?」
「おい」
鼓浦からの声掛けに反応せず、自分に話しかけてくる七草を見て、ほぼ確実にわざと反応していない。
そう思った蒼は、戻ったけどいろいろあって。
そう答えた後すぐに、七草が口を開かないうちに続けた。
「それで、どういう状況?これ」
珍しい事にいつもなら面白そうにしているクラスメイトの表情も、青褪めていたり昏くなっていたりしている。
目を覚ましてから数分で、そんな周囲を見てどんな状況なのかを粗方理解できてしまっている自分の思考能力を若干恨みながら、再度七草に尋ねた。
2013.02.18
2018.01.09