Their story | ナノ


Their story ≫ 第三幕

閉会式にて解散

忌々しいほどの晴天だと思いながら、前を見る。

「以上を持って」
「新入生歓迎会を」
「「終了しまーす!!」」

夕と夜のその声を聴き、周りが拍手と歓声を上げた。
生徒会役員ではなく学級委員長の誘導に従い、徐々に生徒たちは散っていく。
いったいこれからどうなってしまうのかを考えてみたところで、結局は、なるようにしかならないのだろう。
誘導に従い、その場を後にしようとした蒼の背に、衝撃が来た。

「あーおたん!」

その言葉から溝口であることは察せられたが、かろうじて衝撃に耐えた蒼は、低い声で言った。

「…………今日の僕は、ピリリと辛い」
「なにそれ意味不明!!」
「もう疲れたよラッシュ」
「蒼たん…キャラが、なんか、何、いったい何が起こったの」
「いきなり飛びついてくるのはおやめいただきたい」

淡々と言えば、溝口はすぐに謝罪を口にした。

「………ていうか、友達どうしたの」
「おいてきた!」

せーっかく蒼たんと一緒にいれるんだよ!!あいつ等とは教室で会えるしね!!
そう言い切った溝口に、蒼は溜息を吐き、ああ、そう。と、何かを諦めたように呟いた。

「それよりさぁ、蒼たん」
「なーにー?」
「天城クン、ちょっとなんか、様子変じゃね?」
「さぁ…気のせいじゃない?」
「きのせい…きのせい?うーん」

溝口に不可思議な流れで連れられて辿り着いた場所から戻り、別れた後。
今後の考えを纏めようと行くあてもなく散歩をしていた時に、天城と再び会い、話をした。
ただ、それだけだ。

(どっかで、狂わされていた)

誰が、何を目的としてそうしたかは分からないが、そうでなければ天城がああなったとは考えにくい。

(だからといって、何が変わるわけでもない)

本質だけは変わっていないはずだと、結論を出した蒼は、結局、どうしようもないのだと思考を打ち切り、溝口に言った。

「それより、早くもどって休もうよ、みっつん」
「えっ!一緒に入ってくれるの!!?お風呂!!」
「……………………」

誰がいつそんなこと言ったんだよ。
そう言った蒼に、溝口は今言ったじゃん!!と、返したがそんな彼を相手にするはずもなく、蒼は溝口を置き去りに、支持されていたバスへと乗り込んだ。

2012.10.07
2017.10.28


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