Their story | ナノ


Their story ≫ 2

一致 (side.A)

何故こんなに気になるのだろうか。
そう思いながらも、秋野は溜まり場になっているバーに入り、指定席に座っていた。
隣では葉加瀬が鼻歌を歌いながら、今はマスターの作ったオムライスをつついている。

(から揚げにサラダに、うどんに………その後にオムライス、)

コイツの胃はブラックホールなのか。大丈夫なのか。と、少しばかり心配になったが、別の事が気になっていた秋野は、そんなことを考えていたことも忘れ、葉加瀬から視線を逸らした。

「…………そーちょー」

ごくん。と、音が出そうなほどの勢いでオムライスの最後の一口を飲みこんだ葉加瀬は、携帯電話を見詰めている秋野を呼んだ。

「みつけたよ」

秋野が口を開き、何かを言う前に葉加瀬は言い、ズボンのポケットからディスクを取り出し、秋野の手元に置いた。

「――――早いな」
「申し訳ないことに…」

表面的な事しか出てこなかった。
心の底から悔しそうに、申し訳なさそうに言った葉加瀬に、秋野は十分だ。と、答え、マスターに声をかけると地下へ続く階段を降りはじめた。
少し遅れて、葉加瀬もそれに続く。
地下に下り、部屋を開けた秋野の元に声が届き、その声に答えながら、地下の一角へと向かった秋野は、ディスクを機械に読み込ませた。

「同一人物だった」

作業している秋野の後ろには葉加瀬が立っている。
自信を持った声色でそう言われた秋野は、天城輝と族潰しの蓮華が同一人物であると聞き、納得したようにそうか。と答え、答えた後に表面的な事しか出てこなかったにも関わらず、何故葉加瀬が同一人物だと分かったのかが気になり、彼を見つめた。
何も知らない人が見れば、秋野が葉加瀬を睨んでいるように見えるが、此処には気心知れた仲間しかいないため、場の空気は変わらない。

「照合してみた」
「照合、か」
「それなら、写真だけあれば出来ると思ってさー」

見事、蓮華と転入生君の骨格は一致したのでした!と、心底嬉しそうに言った葉加瀬に呆れたような視線を向けながらも、秋野は礼を述べた。

「それで、」

どうするつもり?
そう訊かれた秋野は、思わず笑みを浮かべていたが、その笑みが凶悪なものであるとは自分では気付いていなかった。

2011.10.19


copyright (c) 20100210~ km
all rights reserved.
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -