Their story | ナノ


Their story ≫ 2

林間学校 (side.A)

何故悲しそうな顔をするのだろうか。
そう思いながらも、秋野は都に尋ねることはしなかった。
自分がそれを無意味な行事だと思っているが、もしかしたら都はそうではないのかもしれない。と、考える。
考えたところで秋野の考えが覆ることはなかったが、不思議なことに、漠然と都の落ち込んだような表情を見るのは嫌だと思った。

「わりぃ」
「えっ」

俯いてもそもそと自分が作った料理を食べている都に、秋野は気付けばそう言っていた。
途端、弾かれたように顔をあげ、驚いている都に向かい、秋野は言う。

「俺にはわかんねぇ」

秋野の中で物事は是か非しかない。
人に対する感情も同様に、好きか嫌いか、両極端に分かれている。

(わかんねぇな)

ただ、珍しいことに都に対しては違っている。
秋野は、珍しく自分のコトが理解できないと思いながらも、都のことを放っておくことが出来ない。
はっきりしない姿を見ると、うざいと思う。が、同時にそうさせている原因が気になってしまう。

「や、気にしないで」

謝罪に対し、そう返された秋野は、自分でも無意識のうちに笑みを浮かべていた。
それを見て都は動きを止め、持っていたフォークを落とした。

「――――――、」
「?」
「美形、なん、て……」
「は?」
「………滋君、て、親衛隊持ちだったっけ」
「あ?親衛隊?んなもんねぇよ」

都の言葉に秋野は答え、不思議そうに彼を見たが、おかしい。
そう呟いたきり、都が黙ってしまったために、真意をはかりかねた。
タイミングがいいのか悪いのか、その直後、秋野の携帯が震える。
見れば、仲間からの連絡だった。

(忘れてた)

今から行くか。
そう考えながら返信をし、席から立ち上がれば都の瞳が揺れていることに気付いた。

「―――、何」
「あーっと、いって、らっしゃい?」

なんだ、それ。
そう思いながらも、秋野は唐突に言われたその言葉に、反射的にいってきます。と、返していた。

2011.10.09


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