Their story | ナノ


Their story ≫ 2

来訪者 (side.A)

いつもなら誰がどうなろうと関係なかったが、顔色の悪い都を見ていた秋野は、彼を心配に思い、玄関に向かった。
その途中、騒がしい声が聞こえ、玄関に近付けば付き纏って来るヤツの姿が見えたため、秋野は顔を歪める。
なんだか都が左右に揺れている、と思った瞬間、彼の体は床に向かっていた。
思わず、その体を支えれば、何故か服を握られる。

(な、)

一瞬、都を見たものの、天城の声がうるさすぎたため、どうにかして追い出さなければいけないと嫌々ながら天城を見る。

「なんで最近逢いに来てくれないんだよ!」
「嫌いだから」

なんでもなにも、最近も何も、最初から俺から逢いに行ったことなどないはずだ。
秋野は思いながら、即答した。

「なっ!嫌いって!簡単にそーゆーこと言っちゃいけないんだぞ!」
「マジうるせぇ」

基本的に無意味に騒がしいのが嫌いな秋野は、足を使おうと思ったところで、都の体があることに気付き、このままじゃ蹴るのに支障があると、都の体を抱き上げた。
そのまま、片足を軸にもう片方の足で天城を蹴り飛ばす。
面白いほどに飛んで行った彼を見て、慌てたように駆け寄る天城の取り巻きを見て、秋野は自分の口の端があがっているのを感じた。
睨まれても痛くもかゆくもない、秋野は思いながら、冷めた目で彼らを見た。

「滋く、」
「病人前に騒いでんじゃねーよ」

驚いたのか、都が自分の名前を呼んだ気がしたが、それよりもあの煩いヤツをどうにかしてからだと思った秋野は、天城を一瞥した後、音を発てて部屋の扉を閉め、素早く施錠した。

***


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