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雑音と眠る

※会長と美形


最近、どうにも周りが騒がしい。
その原因が編入生にあると聞いたのは、つい数分前。
そんな編入生に絡まれたのが、つい数秒前。

入間湖(いりまうみ)は嘆息した。

編入生に名を聞かれ、大した抵抗もせずに名を答えたまでは良かった。
その後が、問題だった。
編入生には下の名前で呼び捨てにされ(実際の所入間は其れ程、名前に執着を持って居ない為どのように呼ばれようとも構いはしない)恐らく其れを切っ掛けに、編入生の周りにいた者達に睨まれてしまった。

「溜息をつくと幸せが逃げるんだぞ!」
「へぇ…」

編入生の言葉に、そうなんだ。と、入間は返し、明後日の方向を見た。
入間はほんの少しも編入生に興味がなかった。が、編入生の方はそうではなかったらしい。

「なあなあ!湖、お前昼飯まだだろ?一緒に食べようぜ!」

対して、入間の答えは素っ気無いものだった。

「昼ごはんならもう食べたんで、僕の事はお気になさらず」
「そんなこと言わずに!」
「……………戻しますよ?」
「!?」

手を掴まれ、食堂に連れて行かれそうになったことを察知した入間は、編入生の耳に自身の口を近づけ、囁くように告げた。

「貴方の変装道具の上に、盛大に」

それでもいいなら、ご一緒しますが。

入間の笑みは、とても友好的なモノとは言い難かったものの、編入生は頬を赤く染め、こくこくと首振り人形の様に、頷いて、また今度と勝手な約束を取り付けて走り去って行った。

「――――――――お前、何言ったんだ」

その後を追いかけていく彼等とは別に、一人残った会長を、入間は見上げる。
何処か疲れているように見えるのは、気のせいではないのかもしれないと考えながら。

「変装道具を取らなきゃならなくなるような事態を起こすと言っただけですよ」
「………嗚呼、成程」

そうすればよかったのか。
何かを納得したかのように頷いている会長から視線を元へと戻した入間は、貴方は行かなくて良かったのですかと呟いた。

「俺が?」

冗談だろ。
鼻で笑い飛ばしながらそう言った会長を見て、周りの空気が何処か和らいだ様に感じた入間は、首を傾げた。
そんな入間の髪に、会長は触れる。

「最近、眠れてないのか」
「………?」

そんなことはないですけど。
そう返した入間に、どうだかなと会長は答え、笑む。

「――――――そろそろ切るか」
「…………君はもう少し他者に優しくなってもいいんじゃない」
「は?」
「と、思うわけですよ」

なんで俺が。
そう呟いた会長に向かい、入間は言った。

「こう、たまには人に頼ってみるとか?」
「――――――――入間」
「なんですか?」
「なんでもねぇ」
「はあ」

とりあえず編入生には関わらない様にしろよ。めんどくせぇから。
不機嫌そうに言われた入間は、そうですね。と、頷いた。

2013.11.22


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