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don't touch me !

※転入生と同室者/追いかけっこ


ボクは逃げている。誰から?同室者から!だって会いたくない、顔を合わせたくない!名前を聞いたときからボクは逃げている!だから全校生徒が彼にいい意味でも悪い意味でも夢中になってる中、ボクだけは会わないように会わないようにと、逃げている。でも、結果が、コレ。

「まてえええええええええええええええええええっ!!!!!!」
「まちませんごめんなさい逃げます逃げ切ります」
「なん!!でだよ!!!!どうして!!!!!!!!」

良かった、ボク、走るのだけは出来て、ほんっと、良かった!!そんなわけで、ボクは逃げている。遭遇するたびに、逃げている。相手がボクを見失うまで。相手がスタミナなくてほんと、良かった。今だってもう止まってるし!オッケーオッケー万事休す!え?違う?もうボク自分でもわけがわからない!!けど、とりあえず会いたくない!だから生徒会に呼び出されても何しても行ってません。教室に騒がしい音が聴こえて来たら、その途端授業ボイコットして教室を後にします。許して下さい、先生。

「なんで!!!!」

おー。ついには泣き出した。これは面白い。けど、ボクは出て行かない。出て行きたくないから。だってあんな大きな声、近くで聞いたら鼓膜破れちゃう。よっしゃー!今回も終了。ボクのことをうまく見失ってくれたみたい!

「お前なあ……」
「はれ、ふうきいいんちょー」
「いい加減会うくらい、会ってやれよ」
「嫌ですーあの大きな声どうにかなったらいいですけど、それがどうにかならないうちは会いたくないし触られたくもないんです」
「は?触られる??」
「そうですよー初めて会った時のこと、ボクは忘れません。ボディタッチがあんなに激しい日本人に、初めて会った時の衝撃ときたら。恐ろしかったです。散々でした」

ちなみにボクの声はすごくすっごく小さい。頑張って頑張って、相当頑張らないと、大きな声は出せない。なんでかは、分からないけど。だけど風紀委員長は、そんな僕の小さな声を聴きとってくれるから、大変ありがたい存在。お兄ちゃんみたい!実際お兄ちゃんです。公にはなってないけど従兄弟なんです。別に隠してるわけじゃないけど、ね。知らない人は多いみたい。

「しかしお前、どうやってしのいでんだ?部屋一緒だっただろう」
「友達のとこに避難、です」
「……………」
「あっでもでも!平気なんですよ?だってその子引きこもりだし、転入生と同じクラスじゃないし、」
「おい」
「はい、付き合ってます。ごめんなさい。友達じゃなくて恋人です。言ってなくてすみませ…………「捕まえたっ!!」いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!?!???!!?!??!げほっけほっぐっうえっけほっ」
「だ、大丈夫か!?」
「………大きな声なんて出すから……」

心配そうに背中撫でてくれるけど、風紀委員長のせいだ。いや、違う、自分のせい。あああなんておまぬけさん!捕まってしまった会ってしまった!助けてマイダーリン!!ボクやだほんとまじ気持ち悪いこの人!!!!!!嫌いじゃない!嫌いじゃないけど気持ちわるい!!!!!!!!あああ嘘です助けに来なくていいよ!来ないで!!美形好きな転入生に目を付けられちゃったらボクの心ポッキリいっちゃうから!!

「…………触らないでください、寄らないでください、大きな声出さないでください。じゃないとボクは嫌です。友達になんかなりたくないです」
「ご、ごめ、ごめんっ」

あれ、なんでそんな素直に謝ってるんです?そんなキャラでしたっけ?不思議そうに見れば、転入生は苦笑しながらボクから離れてくれた。風紀委員長まで苦笑してる。え?どゆこと??
後から聞いた話、ボクが気付いていなかっただけで、いつの間にか転入生とボクの追いかけっこは学園中で有名になっていて、転入生の取り巻きはいつの間にか転入生と普通の友達の関係になっていて、親衛隊も落ち着いていたらしい。転入生は、なんていうか、うん、見ての通り。だいぶ性格改善されてるらしかった。だれか知らないけどKYを調教して常識人に改造してくれた人、GJ。

「ご、ごめん、なさい……」
「おれも、追い掛け回して、ごめん」

とりあえず、今のこの子だったら、自己紹介して友達になってみてもいいかな、なんて。思ってみたりして。

「だけどやっぱり、触らないでね」

悪い記憶が改善されるまでは、言い続けよう。

2011.09.25
脱字訂正 2012.10.03
# 主人公も大概´`


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