そして明日を紡ぐ
「それで、なんでこんなことになってるんだ」
憮然とした様子で言った幸野に、新垣は笑った。
「僕が望んでしまったから?」
「………それにしたって」
「いいじゃんいいじゃん。結果、一緒に入れるんだし」
死ぬこともないし繰り返すことだって、なくなったんだし。
小さな声で言われ、ハッとしたように幸野は新垣を見た。
ただ柔らかい笑みを浮かべている新垣は、僕と一緒にいる時だけでいいから。と云う。
「―――外見まで合わせるのか」
「その辺は、譲歩してよ」
「お前が死ぬまでは、か」
「そうそう。僕が死ぬまで」
あの繰り返した日々は、結局のところただの夢だったのだと告げた瞬間の新垣の呆気にとられた表情を、幸野は忘れないだろうと思う。
「……そう言えば、容姿はこのままでいいのか?」
「ん?いいよ。大丈夫」
だって僕、ゲイだから。
にこやかに言われ、幸野は脱力した。
2012.05.21