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無理難題

※転入生に絡まれた彼氏持ち


転入生が来た。俺に絡んできた。だから言ってやった。名前教えて教えられて、いきなり許可もなしに下の名前で呼んできて、挙句親友だのなんだの言ってきたバカには、無理難題を送ってやろう!

「そうだよな!俺とお前は親友だもんな!名前で呼ぶの、当たり前だよな!!あ、じゃあさじゃあさ、俺のいいとこ1000個あげてくれよ!今すぐ!!俺の親友だって言うならできるだろ!?」

ちなみにいつもこんなことしてるわけじゃない。気が向いたときにやっちゃうだけ。ほんっとーに時々。これって一種の、発作なんだと思ってる。

「う、え、あ、あの、幸「早く言えよ。言えねーの?1000個!俺のいいとこ!!俺もお前のいいとこ1000個言えねーからあれだな!俺らって親友じゃないってことだな!友達ですらないってことだな!!だって俺の友達に言ったら最低100個は俺のいいとこあげてくれるんだぜ?てことで、俺とお前は友達じゃない。1000個俺のいいとこ言えるようになったら友達どころか親友になってやるよ!」う、うわああああああああああああああああん」

おい、何故そこで泣き出す。意味がわからん。ちなみに今の話は本当。一人だけだけど、運の悪いことに俺の気紛れに当たってしまったやつに言ったら、いいとこだけじゃなくてわるいとこと特徴含めたら100は軽い。と言ってのけたやつがいた。そいつはほんとに100個俺のいいとことわるいとこと特徴を上げてきた。すげーな。と言ったら、愛の成せるわざだ、とか言ってきやがった。その上今度はいいところを1000個書いたリストを渡された。一体どうやって1000個なんてありえない数のいいところを叩き出したんだろうか。いまだに謎だ。まあ、そいつと俺はなんだかんだあった末に、今現在付き合っていたりする。なんとそいつはこのクラスの委員長だ。

「おい、麻生」
「なんですか?先生。引き取ってくれます?この幼稚園児」
「……好きにしてくれ。特に伝えることもないからHRは以上だ」

俺の言葉に転入生にメロメロになっていた様子の担任は我に返ったのか、悍ましいものを見るかのような目で、転入生を見ていたかと思うと、授業ちゃんと出ろよーといって、教室から去って行った。なんという変わり身の早さ!転入生も驚いている!驚きながら泣くとかどんなテクだ。すげえな。まあ、とにかく目が覚めたのは良い事だ。ていうか声、でかくなってね?
そういえば以前、先生に抱いてやろうか。と言われた時に『抱いてくれてもいいですけど、俺のこと抱くつもりなら去勢手術してから出直してきてくださいネ。後、俺の姉に報告もお願いします。あ、これ電話番号です。さ、今すぐどうぞ。俺のコト抱きたいんでしょう?俺はあんたになんか抱かれたくないけど。あ、あと、姉に俺を抱きたいんですがとかそんなこと言ったらまず間違いなく、先生は社会的に抹消されてしまうでしょうけどそれでも良ければさあどぞ!!』と、返した事を思い出した。唐突に。
あれ以来、先生、必要以上に俺に構ってくることはなくなったんだよな。あの時は確かに抱かれるのとか抱くのとか男同士で意味わかんねぇ、とか思ってたのに染まろうと思えば染まるものだ。少し悲しくなってきた。

「人間とは矛盾によって成り立っているのだ!」
「麻生君」
「おー委員長。なぁに?」

思わず叫んだ俺に、愛しの(?)恋人から声がかかる。
ちなみに俺と委員長が付き合ってることはあまり知られていない。何せ公にしてないし。委員長と俺、教室内だと割と他人行儀だし。え?部屋で?そりゃあ名前で呼び合うに決まってんじゃん。だって一応恋人同士だよ?しかも同室!

「1000個は難しいんじゃないかな」
「いやー、でもさ、委員長」

考えてみてよ。名前教えただけで友達認定!下の名前呼んでいいとも言ってないのに呼んできた挙句二言目には親友だろ!?とか言われた時には、やっぱ言わざるをえないっしょ。友達なら100個、親友なら1000個。ね?おれのいいとこ、それくらい言ってもらえないと親友の座は与えられないさ。
ほぼノンブレスで言った俺の頭を、委員長が撫でてくれた。あれ?これ部屋以外でするの初めてじゃね?まあ、委員長に撫でられるの好きだからいいけど。と、思いながら目を細めれば、何故か周りから悲鳴が上がった。付き合ってるの!?とかそんなおかしな声が聞こえてくる。

「俺の心を射止めそうな言葉、10個言えば教えてやろう!」

笑いながら言えば、なにそれわけわかんない!と、かわいこちゃんが言った。とりあえず転入生、さっきからうるさい。良いかげん泣くのやめろ。高校二年生が恥ずかしい!

スパーン!

「なっなにすんだ「おっかえりー!俺のいいとこ1000個言えるようになった?」お、おま「言えるようになったらまた来てね!そしたら友達になることも考えたげる!とりあえず俺、お前みたいな不清潔そうなヤツと友達だって思われるのヤダし、多分それクラス全員が思ってることだからその恰好どうにかしてから出直してこい!!」っっっ」

今日俺、洗ってた上履き持ってくるの忘れて学校のスリッパ借りてたんだよね。それ思い出して転入生の頭ひっぱたいてやった。ら、何かずれた気がしたけど知らねー。はげてるの?この年から?なんて言えないしね。にやり、と笑いながら委員長を見れば、何故か溜息をつかれたから機嫌悪くなったのかな?と思って、ちゅーしといてやった。もちろんマウストゥーマウス。

「幸也……」
「なーに。京一」

名前で呼ばれたから名前で返してあげようと思いました!それに今日って、記念すべき日なわけですし?

「ここ、教室」
「いいじゃん!転入生がもし京一のこと好きになったら面倒だし!俺のこと好きになっても面倒だし?」

俺の言葉にそれもそうか、と、京一は言った。

「「「付き合ってるの!!?!?!?!??!?」」」

クラスメイト達すごい息ぴったりだね。てかそれ、二回目。転入生はなんか魂抜けてる気がするけど大丈夫かな。まあいいや。友達じゃないし、心配する価値ないね。うん。

「イエス!ザッツライト!!」
「幸也…」
「なんだかんだねー、あ!京一!今日で一周年じゃんね。付き合って一年!!」
「覚えてたんだ」
「あったりめーよ!てわけでクラスのみんな、祝ってね!」

ウインクつけて言い放ってやった。なんか空気な自分に耐えきれなくなったのか、転入生は教室から逃げて行きました。そんでもって俺の無茶ぶりに、クラスメイト達は応えてくれた。なんということでしょう!みんな好き!って言ったら京一からにらまれたから京一には愛してるって言っといた。なんだかんだで好きだよ、ちゃんと。

数日後、なんかやたら綺麗な子が教室に居たけど、いちゃついてる俺と委員長の傍には寄ってこなかった。きっとあれが転入生だ。と、言われたからへー。とだけ返しておいた。

めでたしめでたし!

2011.09.20
微修正 2012.10.03


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