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結論:美形好き

※傍観者/転入生に関して


脇役と言うか傍観者。或いは被害者にして加害者。それが遠くから転入生たちの様子を眺めるだけに留めているボクに言える言葉。ああ、ボクの友人たち、というかクラスメイトにも同様の事が言える。
どうやら、転入生は美形が好きらしい。美形とは言えない生徒を一人だけ傍に置いているけど、なんていうか、所謂美形には程遠い顔立ちの彼に対してはお可哀想に。と、しか言いようがない。
この学園の場合、見目が良い者や人気者に親衛隊があるものの、その中で彼等のことを恋愛対象として見ている者はいない。仮にそうであると分かった場合、親衛隊を除隊することになる。したがって、今現在暴走しているのは親衛隊ではない。という事だ。親衛隊以外で彼等の事が好きな生徒が暴走していることになる。
普通の生徒は、それを知っている。ていうか人気者も元は普通の生徒だったんだから知っててもおかしくないんだけど、結局のところ、それを忘れてしまったんだろう。哀しいことに、人間は忘れる生き物なのだ。仕方ないと言えば仕方ないけど。覚えていたら、きっと親衛隊解散ー!とか、彼等は言わなかっただろう。そんでもって、親衛隊解散と言った時にわかりました。と、すぐに承諾した彼等に対して疑問を抱いた事だろう。
元親衛隊の皆様はもともと部活感覚で親衛隊をやっていたものだから、今は名前を変えて活動している。内容も多少変わっているようだけど、詳しくは知らない。
それにしても。恋は盲目。とはよくできた言葉だと思う。
転入生の周りは騒々しい。美形がまりもみたいな転入生に群がる姿は、なかなかシュールで笑いを誘う。彼等は恐らく、一部を除いた学園中の生徒がその光景に笑いを堪えていることなんて知らないだろう。たとえまりもの下が美形だったところで、結局笑いを堪えることには変わりない。
だって、たった一人に群がってる姿がなんていうか、ねぇ。ああ、だめ、笑えて言葉が出てこない。

「やっぱ、美形が好きなのか」
「転入生くんのことかい」
「そうそ。他に誰がいるのさ」

ボクのひとりごとに友人が相槌を打ってくれた事に有り難く思いながら、とりあえず答えておいた。
ボクらのクラスは平和だ。滅多な事がない限り転入生が来ることはない。危機回避能力半端ないからね。今じゃマリモ…じゃなくて転入生の大きな騒音とも言える声が聴こえてきた瞬間に廊下側の扉や窓を全て閉め、施錠している。残念なことに、校舎の鍵はブラックカード(なんと、転入生はどこの扉の鍵でも開ける事が出来るカードを理事長からもらっているらしい)でもゴールドカード(ちなみにこれは、役職に就いている人が持っているカードのこと)でも開ける事が出来ない。従って、侵入されることなく気付けば、転入生は別の場所に移動していってしまっている。
実のところ、うちのクラスにも美形が数名いたりする。その子たちは案の定一度は転入生に目を付けられたものの、うまい具合にかわしたらしく(どうやってかわしたのか気になってるけど、きかないでほしいという雰囲気を垂れ流されたからやめといた)今は静かに平穏な生活を送っている。どうやら、最初を乗り切ってしまえば後は何も起こらないらしい。

「見事に美形とか美人とか、とりあえず人気ありそうな人ばっかり落としていくから観てると楽しくって」

笑いながら言えば、君は悪趣味だな。と、言われた。
そういう君も悪趣味だと思うけどね。と返せば、笑われる。

「やっぱどう考えても、転入生は美形好きだってことだな」

うん。もうそれでいいや。と、ボクは何度目になるかわからないそれを言った。
この状況がずっと続けば転入生の傍にいる普通顔の彼はさらに可哀想なことになるだろうけど、そうなる前にきっとどうにかなると、分かってる。だってさ、ここは残念ながら、メル友の腐男子が言うところの王道学園じゃないんだもの。

2011.09.16
加筆修正 2012.10.03


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