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目が醒めたら

※平凡(ガリ勉)←風紀委員長/事後


目が覚めたら目の前によく知る顔があった。
何故この人が自分の腕の中にいるのかが分からない。
思い出そうとした瞬間、頭痛に襲われた。

「………ん、」

端整な顔立ちをした目の前の人(ああ、これは他人の空似でなければうちの学園の風紀委員長だ)を見つめる。
あなたそんな声出すような人だったんですかと思いながらも、口に出すことは出来ない。

学園ではガリ勉と呼ばれている六木棗は風紀委員長である向坂光治から、彼に気付かれないようにそっと腕を抜き、起き上がった。
ベッドから床に足を下した瞬間、脱ぎ散らかされている服を見て、天井を仰ぎ見ると、もう一度床を見た。
現実は変わらない。
自分のベッドで向坂が眠っているという現実も、変わらない。

「………いやいやいや、は?」

風紀委員長に比べれば自分など足元にも及ばないような平平凡凡な容姿体型をしている自分の部屋のベッドに、何故、向坂がいるのか。

――――だ。

思い出そうとして、今度は頭痛に襲われなかった。
とはいえ、思い出さないほうがよかったのかもしれない。
頬を染めて自分のことを好きだと言い、後生だからといつの時代だと問いたくなるようなことを言い、自分に抱かれに来たのが今自分のベッドで眠っている風紀委員長であることを、六木はできることなら認めたくなかった。
認めたくはなかったが、確か、行為を終えて早々に退散しようとした彼を止めたのはほかならぬ六木自身だったことをも思い出し、気持ちを落ち着かせるために、息を吐く。

「……………仕方がない」

仕方ないも何も、彼が自分のこの性格を知っていたとしたら、とんだ確信犯だ。
最も、向坂なら目的のためにはやりかねない。
相手が飽きるまでの相手なら、まあ、いいだろう。
こうなるように誘導されてしまった自分が悪い。
状況を理解し、ありとあらゆる回避パターンを考えてはみたものの、結局は向坂が飽きるまでは逃げ道などないと結論付けた六木は、とにもかくにも向坂を起こすことにしたのだった。

2018.04.15


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