いつか、あなたが
※戻らない時間について
拝啓
そちらはもう雪がちらつく季節でしょうか。
こちらは相変わらず、桜が咲き乱れています。
守るためとはいえ、あなたはもしかしたら、怒っているかもしれないと思うと、ほんの少しだけ、申し訳ないことをしてしまったと、思ってみたりもします。
ですが、後悔はしていません。
あの時は、あれが、最善であったと、わたしは今でも、そう思っています。
編入生がきたことで逃げようにも逃げられなかったあなたにとって。
ああなることは、ある意味、必然だったのでしょう。
それでも、未然に防げたのではないかと、今でもわたしは、考えてしまいます。
もしも今、あなたの苦痛が少しでも和らいでいるのなら、わたしはわたしの役割を果たせたといえます。
そうでなければ、ただただ、申し訳ありませんでしたと、いう他ありません。
そういえば。
すべて、片は付きましたので、きっとあなたの望んでいた、静かな日々がそのうちに、戻ってくることでしょう。
本当ならば、何も残さずにいくつもりだったのですが、とある方に言われ、思い直しました。
少しばかり、わたしがいたという証を、残していくことを、どうかどうか、お許しください。
もし、もしも。
あなたが真実を知る勇気を持てたのならば、その時には、その方に会いに行って、その方の話を、聞いていただきたく思います。
わたしはここまでですが、その方はずっと、あなたのことを案じ、想ってくれていたことを、ほかならぬわたしが、知っています。
まだまだ、書き足りない気持ではありますが、このあたりで失礼いたします。
あなたの未来に、幸あらんことを。
2017.06.02
続くかもしれませんが、続かないかもしれない話